Build 2017の「Webサービス開発者向けセッション」で紹介された、Web技術とEdgeの現在と近未来:プログレッシブWebアプリ、WebVR、Payment Request API、Chakraなど
マイクロソフトの開発者向けイベント「Build 2017」で行われたWebサービス開発者向けのセッションから、近日登場する新機能、注目される開発中のサービスを抜粋して紹介する。
米マイクロソフトは2017年5月19日(米国時間)、同社の年次開発者会議「Build 2017」で行われたWeb開発者向けセッションの概要を公式ブログで紹介した。以下、内容を抄訳する。
Windowsの現在と将来に向けたWeb技術
このセッションでは、最新のHTMLレンダリングエンジン「EdgeHTML 15」と、これに基づく標準ブラウザ「Microsoft Edge」(以下、Edge)の新機能を紹介。Edgeの次期リリース向けに重点的に開発している機能のロードマップを明らかにした。
EdgeHTML 15を実装したEdgeでは、Web決済の標準化に向けた「Payment Request」、Web技術によるMR(Mixed Reality:混合現実)の提供を目指す「WebVR」などの技術とともに、大幅に改良された応答性や省電力性能も追求する。併せて、「CSS Grid Layout」の実装、Service WorkerなどのAPI(Application Programming Interface)開発も進めている。これらはプログレッシブWebアプリを実現するための機能となる。
また、Windowsの次期メジャーアップデート「Windows 10 Fall Creators Update」で導入される新しいUI(ユーザーインタフェース)デザインシステム「Fluent Design」により、EdgeのUIも変わる。Fluent Designにより、Depth(深さ)、Motion(動き)などの要素がEdgeのコントロールとブラウザフレームに取り入れられる。例えば、Webページの背景要素とブラウザウィンドウの色をシームレスに連動できるようになる。
WindowsのプログレッシブWebアプリ
このセッションでは、Webアプリの将来のビジョンに基づく「プログレッシブWebアプリ」(PWA)に関する取り組みを紹介。PWAは2017年夏から、Edge次期バージョンのプレビュー版に搭載予定である「Service Worker」などの機能を使って開発できるようになる。
PWAはWeb技術をベースに構築でき、クラウド上へホストされ、クロスプラットフォームでネイティブ風に動作する。オフラインでも動作し、(ブラウザやアプリケーションが閉じられていても)バックグラウンドでコンテンツを更新することもできる。
多種多様なPWAが開発されていくことで、Windowsストアで提供されるWindows Webアプリエコシステムの拡充を見込んでいる。「Web App Manifests」や「PWABuilder」などのツールでPWAを開発し、Windowsストアで公開できるようにするという。
WebVR:Web技術による没入型MR
Windows 10 Creators UpdateでリリースしたEdgeHTML 15によって、Web開発者はEdge、Windows Mixed Reality(以下、Windows MR)、WebVR 1.1 APIを用いてWebVR機能を容易に提供できるようになった。
例えば、「Babylon.js」や「A-Frame」などのモダンなフレームワークでは、使い慣れたWeb技術を使ってWebVRの構築を始められる。「Windows MR Simulator」を使えば、VRヘッドセットなしでも開発を始められる。
「Payment Request API」による便利な決済
「Payment Request API」によって、Web上、あるいはアプリ内で標準化されたクロスブラウザ対応の決済機能を実現できる。ブラウザを使って決済と出荷の詳細情報を保存、提供する仕組みで、決済機能を構築するフローを大幅に簡素化できる。
Payment Requestは、EdgeHTML 15、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリ、「Desktop to UWP Bridge」でパッケージ化されたアプリ、「Microsoft Bot Framework」で動作することから、さまざまなデバイスやプラットフォームに対応した手軽な決済機能を開発できる。
「ChakraCore」の新機能
EdgeとWindows 10を支えるオープンソースJavaScriptエンジン「Chakra」にも新たな機能が追加される。
Edgeでは「WebAssembly」が実験的にサポートされており、ネイティブアプリに近いパフォーマンスを提供できる。「Time Travel Debugging」のような新ツールも用意されている。
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