中堅企業の「バックアップのクラウド対応」が進む、課題は「復旧テストの有無」 デル調査:「非常時のデータ復旧に自信なし=5割」の課題をどう解消するか
デルが「中堅企業向けバックアップ関連動向調査」の結果を発表。いわゆる“ひとり情シス”の企業が抱える課題は、「負荷増によるミスの可能性」と「復旧テストの有無」。なお中堅企業においても、バックアップのクラウド化が進んでいる現状も分かった。
デルは2017年5月26日、中堅企業IT関連動向調査(2016年12月から2017年1月)の追跡調査として2017年4月から5月に実施した「中堅企業向けバックアップ関連動向調査」の結果を発表。秘匿性が高いことから、これまであまり公表されていなかったという中堅企業のバックアップに関する動向や意識を分析した結果を踏まえ、デルテクノロジーズ全体のバックアップソリューションを再整理する方針を示した。
同調査によると、情報システム担当に人員を多く割けない事情がある多くの中堅企業では、データバックアップを一般的なデータ保護対策にとどまらず、予期せぬトラブルも迅速に対応し、2次・3次被害に派生させないために行い、根本は「業務負荷の増大を防ぐための重要な要素」と考えていることが分かった。そして、管理や運用が複雑化すれば、負荷の増大や復旧時の不慣れな作業で「操作ミスが発生する可能性が高まる」ことを懸念している。この課題がバックアップ環境を整備・刷新する際の足かせになっているという。
なお、RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)に関しては、企業の規模にかかわらず、多くの企業でデータ種別ごとに明確に定義していることも分かった。例えば、基幹業務(アプリケーションやデータベース)では「4時間」が最も多く、その他、メールは「半日」、設計・技術仕様書、調査・試験データ、図面・グラフィックデータ、ファイルサーバなどは「1日」だった。
しかし約半数の企業は、「システム全体のデータを復旧できる絶対の自信はない」と回答した。このことについてデルは、バックアップが本当に有効かどうかは、実際に障害が発生し、復旧を試みないと分からない現状、つまり「復旧テストが行われていない/できない状況」であることが一因と考えられるとしている。
バックアップ先については、オンプレミスで対応している企業は95.9%に上る。ただし、クラウドとオンプレミスと併用している企業も23.9%に上った。なお海外展開している、あるいは海外展開を検討している企業(全体の53%)に限ると、44.4%に上る企業がクラウド型のバックアップソリューションを想定していることが分かった。デルが2017年2月に調査した中堅企業のIaaS(Infrastructure as a Service)導入意向は7%と低い数値だったが、それに対してバックアップのクラウド化はかなり進んできていると調査結果では述べられている。
これらの調査結果に基づき、デルは、提供する中堅企業向けバックアップ向けソリューションを再編し、体系化する。バックアップの主目的を「継続的な可用性(CA:Continuous Availability)」「高可用性(HA:High Availability)」「バックアップ&リカバリー」「アーカイブ」の4つに分け、ソリューションパターンを「ひとり情シス」「ふたり以上」「海外展開」「製造」「卸・小売り」「建設」の6つに分類して展開する。
CA向けには「Dell EMC VPLEX」、HA向けには「Dell EMC Recover Point」や「Dell EMC SCシリーズ」など、バックアップ&リカバリー向けには「Dell EMC Data Domain」や「Dell EMC Avamar」など、アーカイブ向けには「Dell EMC Isilon NL」や「Dell EMC ECS」を提供。自社がどのパターンかを判断するための「自社診断ツール」も用意される。
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