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自分の中でイノベーションを起こせ──セキュリティ・キャンプ全国大会2017が抱かせた「好奇心」の真の意図セキュリティが得意な「次世代」が集った5日間(2/2 ページ)

2017年8月、情報セキュリティをけん引する人材の発掘と育成を目指す「セキュリティ・キャンプ全国大会2017」が開催された。今回は2016年大会のほぼ倍となる82人の学生と生徒が参加し、先端知識と技術を学んだ。

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「創造する仕事はなくならない。ぜひ、何かを作り続けていってほしい」

 キャンプ初日には、JPCERT/CCの小宮山功一朗氏が「グローバルなサイバーセキュリティのおしごと」というタイトルで特別講演を行った。講演では、JPCERT/CCが行っている情報収集や国際的なルール作り、そして同氏が「セキュリティ・キャンプ アフリカ」と表現する、海外でのセキュリティ人材育成の取り組みが紹介された。

 長年こうした形でセキュリティに関する仕事に携わってきた小宮山氏は、「社会貢献や金銭的な見返りもモチベーションの1つだが、何より“楽しいから”が一番だ」と言う。

 「この世界では毎日新しいこと、昨日までは想像もしていなかったことが起こる。サイバーセキュリティの仕事をしている限り、攻撃してくる側との知恵競べが毎日あって、飽きることはない」(小宮山氏)

 小宮山氏は最後に、代表的なジョークコマンドの1つである「slコマンド」を作成した歌代和正氏(JPCERT/CC代表理事)の「役に立たないものすら作れない奴に、奴に立つものは作れない。何かを作り続けることが重要だ」という言葉を紹介し、「何かを作る仕事はなくならない。コピーすることはできるかもしれないが、仕組み1つ1つの意味まで考えられる人でなければ、新しいものや、いいものは作れない。サイバーセキュリティも同じで、ふわっとした理解からさらに一歩踏みこんで、ディテールの意味を読み取る。このような仕事の価値はなくならない」と述べ、受講者に「ぜひ、何かを作り続けていってほしい」とものを作ることの大切さを呼び掛けた。

 今回のキャンプには2人の小学生も参加した。ykyukiさんは「言語やOSを自作しよう」コースに参加し、講師が作成した組み込みOS「KOZOS」をRaspberry Pi上で動かし、さらにその上で「Lua」を動かすという課題にチャレンジした。残念ながら限られた時間には達成できなかったが、最終日には全参加者の前で、「5日間で、OSが動く仕組みをはじめたくさんのことを学ぶことができたし、やりたいことがもっと出てきた。組み込み開発が好きなので、今度はぜひイチから自分でOSを作ってみたいし、Maker Faireのような場でも発表してみたい」と堂々と成果を発表した。

photo KOZOS上で1つだけLuaコマンドを実行するまで(その後OSが死んでしまうという究極のワンライナー)について発表したykyukiさんのプレゼン。周りの大人も真剣である

 受講者には修了証と経済産業大臣からの激励文が渡された。セキュリティ・キャンプ実施協議会副会長を務めたNTTデータ先端技術の藤原慎氏は「皆さんがセキュリティ業界のトップで活躍していくこと。そしていろいろな分野でセキュリティに配慮しながら活躍できる人になってくれればうれしい。いつか一緒に働ける日を楽しみにしている」と述べた。

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 最後に、セキュリティ・キャンプ企画・実行委員長を務めたNTTデータの宮本久仁男氏が「これは終わりではなく始まり。キャンプでやったことをこれからも継続し、参加者同士はもちろん、講師や過去の参加者ともやりとりしてほしい。また、いつもの場所に戻ってからも、学んだことを自分たちの言葉で伝え、自分たちだけでなく、周りの人も幸せにしていってほしい。それがひいては皆さんの成長につながるはずだから」と、未来のキーパーソンにエールを送った。

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