数年間安定稼働しているシステムで、システムデータベースが肥大化した(ファイル管理トラブル):SQL Serverトラブルシューティング(58)(2/2 ページ)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「システムデータベースが肥大化したトラブルの解決策」を解説します。
解決方法
msdbはユーザデータベースと同じように扱えるとはいえシステムデータベースなので、手動でのレコード削除作業はためらわれます。
そこで「メンテナンスプラン」と呼ばれるビルトインの運用ジョブを利用します。メンテナンスタスクから「履歴のクリーンアップ」を選ぶと古い履歴を正しく削除できます(図1)(図2)。
メンテナンスプランの利用においては、運用中はジョブが履歴データを書き込むことがあるので注意が必要です。夜間などのジョブが動いていない時間を調整し、その間に実行することをお勧めします。
ちなみに、「第13回 システムデータベースが破損して起動しない」でシステムデータベースのバックアップを取っておく必要性と手段を説明しました。これはmsdbについても同じです。破損時にバックアップがないと、例えば「大量にジョブを構成している環境」で、再構成がとても困難になります。
筆者の経験上、インフラ担当者の把握していないところでレプリケーションがジョブ化されていることが“かなり”あります。msdbが失われたとしても、構築当初の設計書のままならば良いのですが、継続運用においてジョブの微調整や設定変更はつきものです。その設定変更の履歴も記録されていなければ、再構築作業にかなりの工数が発生してしまいます。
今回のトラブル例では、サーバのストレージ容量を急きょ確保するために「履歴の削除」を行いましたが、可能ならばバックアップを取った上で実行してください。バックアップを取っておけば、万が一削除したmsdbの情報を参照する必要が出たとしても対処が可能です。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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