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デジタルトランスフォーメーションはスピード感を持ってGartner Insights Pickup(42)

デジタルシフトが本格化して4年が経過した今、デジタルトランスフォーメーションは「過度な期待」のピーク期にあり、厳しく評価されつつある。そして、ビジネスリーダーの3分の2は、自社が競争力を維持するのにデジタル化のペースを上げなければならないと考えている。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

CIOは、デジタルスキルの構築を全社で進めるよう推奨している

 初めて衣料品のネット販売が開始された当時、従来の小売業者は否定的だった。彼らは「インターネットで服を買う人はいないだろう。人々は試着をしたがるものだ」と見ていた。

 だが数年後、顧客を集めたのはAmazon、The Iconicのような通販サイトや、H&M、Zaraのような迅速にサプライチェーンの最適化を活用した小売業者だった。

 2017年、Amazonは米国最大の衣料品小売業者となった。11月にはオーストラリア事業を試験的に開始しており、本格展開も報道されている。オーストラリア市場への影響に関する地元小売業者の見解はまちまちだ。

 Gartnerのシニアバイスプレジデントを務めるバル・スライバー氏は、オーストラリアのゴールドコーストで先ごろ開催されたGartner Symposium/ITxpo 2017でオープニング基調講演を行い、会場に詰め掛けた1700人以上のCIOやITエグゼクティブに対し、早急にデジタルトランスフォーメーションに取り組むよう呼び掛けた。

 「多くの企業はデジタルプロジェクトを推進するにとどまっている。中には非常に大規模なプロジェクトもある。だが、デジタルプロジェクトはデジタルビジネスとは違う」(スライバー氏)

 経営陣は、ライバル企業が新しいビジネスチャンスをつかむのを横目で見て「われわれはデジタルトランスフォーメーションのペースが遅い」といら立ってしまう。CEOがCIOに期待しているのは、新たな効率、新たな価値、及び社員エンゲージメントを高める新たな方法を、技術を活用して迅速に生み出すことだ。

 ビジネスリーダーの3分の2は、自社が競争力を維持するにはデジタル化のペースを上げなければならないと考えている。だが、デジタルトランスフォーメーションは、厳しく評価される時代を迎えようとしている。

 「デジタルシフトが本格化して4年が経過し、デジタルトランスフォーメーションは『過度な期待』のピーク期にある。Gartnerのハイプサイクルから分かるのは、次は谷間に入ることだ。非常にもてはやされた技術は、必ず幻滅の時期を迎える」(スライバー氏)

デジタルで肝心なのは人

 Gartnerのマネージングバイスプレジデントを務めるミシェル・カミノス氏は、「幻滅期の谷間を早く乗り越え、大きな価値を生み出す鍵を握るのは、人にほかならない」と語った。

 Gartnerは人工知能(AI)、デジタルセキュリティ、モノのインターネット(IoT)といった主要な技術において、個々のスキルギャップが大きくなると指摘している。

 「IT担当者に限ったことではない。非IT職に求められる技術スキルも、この4年間に60%増えている」(カミノス氏)

 また、デジタルビジネスは新しい資質やスキルセットを要求する。それは、変わり続ける世界で複雑な意思決定をより頻繁に行い、問題解決を積み重ね、迅速に状況を把握し、例外に対処するためのものだ。

デジタルデクステリティを全社的に醸成

 Gartnerのマネージングバイスプレジデントを務めるリー・マクマレン氏は、CIOは変革のモデル化に率先して取り組む必要があると指摘した。

 「IT部門が社内のデジタル人材の育成を担うとよい。『デジタルデクステリティ(デジタルを使いこなす力)』に基づく考え方、行動、リーダーシップをモデル化していけば、社員は皆、それらを目標として目指すだろう。目標に近づくのが早い人も遅い人もいるだろうが」(マクマレン氏)

 CIOは既にデジタルトランスフォーメーションにおいて、経営チームの一員としての役割を果たし、デジタルビジネスのビジョンを共同で策定し、重要なビジネス成果の達成に取り組んでいる。

 マクマレン氏は、金融サービス会社のCapital Oneがスタッフの育成とスキルアップにどのように投資したかを説明した。Capital Oneの人材プログラムはデータ、機械学習、AIなど13の主要技術分野に重点を置いている。非技術系の学卒者から経営幹部まで幅広い人材をカバーし、社員の学習スタイルに合ったチャネルで提供されている。

 「IT部門に閉じこもってはならない。ITの活用範囲を広げたければ、全社員のデジタルデクステリティを伸ばす必要がある」(マクマレン氏)

出典:Embrace the Urgency of Digital Transformation(Smarter with Gartner)

筆者 Susan Moore

Director, Public Relations


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