無駄(かもしれない)知識クイズで振り返る、Windows都市伝説2017:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(100:年末特別編)(4/4 ページ)
本連載では、Windowsの不思議な挙動や、誤解されている、あるいは既に古くなった知識を取り上げてきました。中には、深すぎて無駄に思えるものもあったでしょう。ですが、頭の片隅に置いておけば、いつか必ず役に立つ(あるいは自慢になる)はずです。2017年に取り上げたトピックをクイズ形式で振り返ってみましょう。
A6──Hyper-VコンテナにおけるLinuxサポートはまだプレビュー段階
正解は(3)Hyper-VとWindows Subsystem for Linux
Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)の標準機能でLinux環境を実現する手段としては、次の2つの方法があります。
- Hyper-V仮想マシンで任意のLinuxをインストールして動かす
- Windows Subsystem for Linux(WSL)を使用する
Windows Subsystem for Linux(WSL)はWindows 10 Fall Creators Updateで正式版となり、現在はMicrosoft Storeから「Ubuntu」「openSUSE」「SUSE Linux Enterprise Server」(「Fedora」は未提供)を取得することで、簡単にLinuxのシェル環境をWindows上で実現できるようになっています(画面7)。
本連載の第94回では、もう1つHyper-VコンテナでLinuxコンテナを動かす方法を紹介していますが、これは現状プレビュー段階であり、正式な方法ではありません。
- Windows上で稼働するLinux、動かしているのはどのテクノロジー?(その1)(第94回、2017年10月10日公開)
- 図解で理解できる(はず)Microsoftの仮想化技術――Windows上で稼働するLinux、動かしているのはどのテクノロジー?(その2)(第95回、2017年10月24日公開)
A7──「応答なし」ウィンドウは元のウィンドウのビットマップから作成した“偽物”
正解は(2)「ゴーストウィンドウ」という偽のウィンドウだから
プログラムのウィンドウを扱う「デスクトップウィンドウマネージャー(DWM)」は、プログラムの応答なし状態を検出すると、そのウィンドウを非表示にし、もともとのウィンドウのビットマップから作成したコピーのウィンドウタイトルに「(応答なし)」を付加して同じ場所に描画します。
これは「ゴーストウィンドウ(Ghost Window)」と呼ばれるものであり、応答なしのプログラムが所有するものではありません。そのため、ゴーストウィンドウに切り替わる前までは本当にウィンドウは応答しません(移動しようとしてもできませんが)。ゴーストウィンドウに切り替わった後は応答します。これについては、本連載の第77回で実証しました。
- 「応答なし」のウィンドウなのに“応答する”のはなぜなのか?(第77回、2017年2月22日公開)
A8──既定のWMIクエリは完璧とはいえません
正解は(8)Windows 10 Enterprise LTSBと(9)Windows 10 Education
最後のクイズのWMIクエリは、非常に複雑なものです。詳しい謎解きについては、本連載の第87回をご覧ください。Windows Server 2016 DirectAccessの既定のWMIクエリの場合、Windows 10 Enterprise LTSCとWindows 10 Educationが抜けています。
- 増殖するOperatingSystemSKU(その1)――WMIクエリの謎解き(第87回、2017年7月18日公開)
本連載の第87回では、主なクライアントOSのSKU番号について一覧で示しました。また、Windows ServerのSKUについても本連載の第88回で一覧を示しました。
- 増殖するOperatingSystemSKU(その2)――Windows Serverのインストールオプションの識別あれこれ(第88回、2017年8月1日公開)
以下の表は、その後、新たに追加されたSKUで調べがついているものです。参考にしてください。
Windows 10(内部バージョン10.0.x) | |
---|---|
SKU番号 | エディション |
4 | Enterprise |
27 | Enterprise N |
48 | Pro |
72 | Enterprise Evaluation(90日評価版) |
84 | Enterprise N Evaluation(90日評価版) |
104 | Mobile |
121 | Education |
123 | IoT Core |
129 | Windows 10 Enterprise LTSB Evaluation(90日評価版) |
130 | Windows 10 Enterprise LTSB N Evaluation(90日評価版) |
133 | Windows 10 Mobile Enterprise |
161 | Windows 10 Pro for Workstations |
178 | Windows 10 S |
179 | Windows 10 S N |
Windows Server半期チャネル(内部バージョン10.0.16299) | |
SKU番号 | エディション |
145 | Windows Server Datacenter |
146 | Windows Server Standard |
▲Windows 10とWindows ServerのSKU番号と対応エディション |
Windows 10 Sは、Windows 10 Creators Update(バージョン1703)から追加された教育機関向けのロックダウンバージョンです。Windows 10 Proをベースに作られており、ストアアプリおよび一部のビルトインプログラムの実行だけが許可され、それ以外はブロックされます。
Windows 10 Pro for Workstationsは、Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)から追加された新しいSKUであり、最大4ソケット、最大6TBメモリに対応したワークステーション用OSです。Windows 10 Pro for Workstationsの提供に合わせ、Windows 10 EnterpriseおよびEducationについても、バージョン1709からは最大4ソケット、最大6TBメモリに対応しました(バージョン1703以前は最大2ソケット、最大2TBメモリまで)。
なお、Windows Server バージョン1709のNano ServerのSKU番号については、Nano ServerからWMIのサポートが削除されているため、調査できていません。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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