はじめてのWindows 10入門講座――最新OSとうまく付き合っていく方法:山市良のうぃんどうず日記(119)(1/3 ページ)
本連載では、Windowsユーザーとしての筆者が、日々遭遇する疑問の調査やトラブル解決を取り上げてきましたが、たびたび深入りし過ぎ、一般ユーザーには余計な情報を提供したかもと反省しています。そこで今回は、はじめてWindows 10に触れるという方に向けて、Windows 10とうまく付き合うヒントを紹介します。
Windows 10の基礎知識はテキストを参考に
コンピュータを安全に利用するには、OSやアプリケーションを最新状態に更新し続けることが重要です。Windows 7は2020年1月に、Windows 8.1は2023年1月にサポートが終了し、以降は重要なセキュリティ更新を含む更新プログラムの提供を受けることができなくなります。
特に、Windows 7はサポート終了まで残り2年を切りました。Windows 7ユーザーは、できるだけ早くOSをWindows 10にアップグレードする必要があります。Windows 8.1にアップグレードするという選択もありますが、Windows 8.1は2018年1月にメインストリームサポートが終了し、今後はセキュリティ更新プログラムの提供と有償サポートの提供になります。
Windows 10リリース時の期間限定の無償アップグレードを利用して旧バージョンからWindows 10に移行したユーザーは、これまでの利用でWindows 10がどういうものか、ある程度理解できているでしょう。また、Windows 10は知識がなくても既定の設定に任せておけば、それだけで最新かつ安全なコンピュータ環境を利用し続けることができるように作られています。
しかし、Windows 10ではさまざまな部分が変更され、自分でコントロールできる部分も少なくなっているため、Windows 8.1以前のユーザーは戸惑うことがあるかもしれません。例えば、ある更新プログラムに問題があってインストールさせたくない場合、Windows 8.1以前ではユーザーが選択を解除することができました。Windows 10では簡単に解除できませんし、個別の不具合修正(バグフィックス)だけをスキップすることもできません。
Windows 10には継続的に新機能が追加され、仕様が変更されることもあります。Microsoftの公式ドキュメントも日々更新されていますが、一方で最新情報が反映されていないこともあるため、実際の画面表示や設定場所、機能の違いに戸惑うこともあるはずです。
そんな中、国内PCメーカーなどが属する一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の情報・産業システム部会が、Windows 10に関する情報をまとめた、一般ユーザーおよび企業ユーザー向けのドキュメント(PDF)を公開しました。Windows 10を使い始めたばかり、あるいはこれから利用するユーザーは、現時点の最新情報を得るのに良いテキストになると思います。
- Windows 10(サービスとしてのWindows)のメリットを活用するためのポイントV1.0(JEITA 情報・産業システム部会 PC・タブレットユーザサポート専門委員会)
このPDFドキュメントでは「サービスとしてのWindows(Windows as a Service)」の概念から、Windows 10のインストールおよびWindows Updateによる更新の特徴やメリット、Windows 8.1以前とは異なるWindows 10のサービスモデルとサポートポリシー、Windows 8.1以前からのバージョンアップやWindows 10の新バージョンへのバージョンアップに伴う注意点、トラブルシューティングの観点からの初期化手順、企業向けのサービスオプション(チャネル)について、2018年1月時点の情報に基づいて一通りまとめられていました。
Windows 10の最大のメリットは、新機能やセキュリティ強化を含む新しいバージョンを、将来にわたって(ライセンスを買い替えることなく)利用できることです。しかし、それにはWindows 10が「最新の状態に適切に更新され続けること」が前提となります。今回は、その点に関して、一般ユーザー向けに幾つか補足していきます。
Windows 10はWindowsの特定バージョンではなく“製品名”
Windows 10の「10」はバージョン番号ではありません。「Windows 10」という製品名です(Windows 10は「10.0.16299.192」のように詳細なビルド番号で表されることもありますが、Windows Server 2016の「10.0.14393.2034」やWindows Server バージョン1709の「10.0.16299.192」の例もあります)。Windows 10は「機能更新プログラム」で新しいバージョンが提供され、西暦下2桁と2桁の月(YYMM、例:1709)で表されるバージョン番号とビルド番号(例:16299)で識別されます。また、ビルド番号に続くリビジョン番号(例:.192)は、そのビルドにおける更新プログラムの適用状態の識別に使用できます。
これまで5つのバージョンがリリースされており、現在サポートされているのは以下の3バージョンです。
- Windows 10 Anniversary Update バージョン1607(ビルド14393.x)
- Windows 10 Creators Update バージョン1703(ビルド15063.x)
- Windows 10 Fall Creators Update バージョン1709(ビルド16299.x)
Windows 10を安心して利用するには、現在利用中のバージョンとビルドを知ることが重要です。これらの情報は「設定」アプリの「システム」にある「バージョン情報」、または「winver」コマンドで確認できます。後述しますが、最新バージョンを実行している必要はありません。サポート期間中のバージョンの、できるだけ最新ビルドを実行していれば大丈夫です。以下のWindows10のリリース情報と比較し、更新された状態にあることを確認してください(画面1)。
- Windows 10のリリース情報(Windows IT Pro Center)
画面1 現在のバージョンが最新ビルドに更新されていることを確認する。2018年1月は緊急の配布や修正版の提供があったため分かりにくくなっているが、通常は毎月の第二火曜日(米国時間)にリリースされたビルドになっていれば問題ない
なお、Windows 10初期リリース(バージョン表記なし、ビルド10240、便宜的にバージョン1507と呼ばれることもあります)とWindows 10 バージョン1511(ビルド10586.x)は、既にサポートが終了しました。これらのバージョンを利用中の場合は、新バージョンに更新する必要があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プロセッサの脆弱性問題、Azureは対策済み、オンプレミスの対応策は?――Windows関連のまとめ
2018年の年明け早々、「Meltdown」や「Spectre」と呼ばれるプロセッサの脆弱性問題が公表され、IT業界全体でゼロデイ攻撃のリスクが高まっています。Microsoft AzureおよびMicrosoftのその他のクラウドサービスは、2018年1月4日時点で既に対策が完了しているとのことです。 - 今度はWindows 7のWindows Updateでトラブル──でも、解決策はあります!
2017年12月4日ごろから、Windows 7で「Windows Update」を実行できないというトラブルに遭遇しているユーザーが少なからずいるようです。Microsoftによる公式なアナウンスや回避策は今のところないようですが、取り急ぎ、問題を解消できる可能性がある方法を紹介します。 - 年の初めに再確認、2018年にサポートが終了するMicrosoft製品は?
Microsoftは同社の製品およびサービスについて、明確なサポートポリシー(ただし、途中で変更あり)に基づき、更新プログラムを含むサポートを提供しています。2018年は主に10年前にリリースされた製品がサポート終了を迎えます。どのような製品があるのか、年の初めに再確認し、使用していないかどうかを調べておきましょう。 - Windows Defender Application Guardで実現するセキュアなブラウジング環境――Windows 10の新しいセキュリティ機能(その2)
前回は、間もなく企業向け(半期チャネル)に配布が始まるWindows 10 Fall Creators Updateに搭載された新しいセキュリティ機能「Exploit Protection」を紹介しました。今回は、もう1つのセキュリティ機能「Windows Defender Application Guard(WDAG)」が提供する安全なWebブラウジング環境を紹介します。