ベンダーは「AR/VRで何ができるか」を明確にすべき――IDC Japan、国内企業を対象にしたAR/VRビジネス利用意向調査結果を発表:VRは立ち上がり時期、ARは揺りかご期
IDC Japanは、「2017年 AR/VR市場 企業ユーザー調査」の結果について発表した。VRのビジネス利用はマーケティングが先行し、ARはコンテンツの開発などが多い。いずれもビジネス利用は、まだ黎明期にある。
IDC Japan(以下、IDC)は2018年2月1日、「2017年 AR/VR市場 企業ユーザー調査」の結果を発表した。同社は、18歳以上の正社員と自営業者の合計1000人を対象に、2017年10月に調査を実施した。
同調査に対して、VR(Virtual Reality)を「すでに利用している」と回答した割合が最も多かった分野は、「マーケティング用途(25.9%)」で、「VRコンテンツに関するコンサルティング(18.5%)」「技術研究(18.5%)」「設計・エンジニアリング・シミュレーションなど(14.8%)」が続いた。ただし、全体的な利用割合の低さから、IDCは、「VRのビジネス利用は、まだ黎明(れいめい)期にある」としている。
VRを「今後利用する予定」と回答した割合が多かった分野は、「技術訓練・トレーニング(20.8%)」で、「技術研究」「設計・エンジニアリング・シミュレーションなど」が15%強だった。
一方、AR(Augmented Reality)を「すでに利用している」と答えた割合は、VRより多かったものの、その多くは「開発環境の開発と販売」だった。具体的には、「テレワーク時の会議用(26.1%)」と「ARコンテンツ開発環境の開発と販売(その他)(26.1%)」「技術研究(26.1%)」が最も多く、「ARコンテンツ開発環境の開発と販売(ソフトウェア)(21.7%)」「ゲーム・エンターテインメント系コンテンツの開発・販売(17.4%)」「ARコンテンツ開発環境の開発と販売(ハードウェア)(17.4%)」「ARコンテンツに関するコンサルティング(17.4%)」が続いた。
「ARを今後利用したい」と回答した割合が多かった分野は「技術研究(13.8%)」と「ARコンテンツ開発環境の開発と販売(ハードウェア)(13.8%)」だった。IDCでは、「ARをビジネス利用する際、実際のワークフローへの導入よりも、コンテンツの開発などを利用目的とするケースが多い。標準化を伴う実際のビジネスでの利用は、VRに後れを取っている」と分析している。
また、「現段階では、ARやVRを自社ビジネスに利用していない」とした回答者に、IDCがビジネス利用への阻害、懸念要因を尋ねたところ、「外注コスト」や「ROIの分かりづらさ」を上げる声が多かった。
IDCでは、「AR/VRは、体験内容とメリットを言語化することが難しい。実際の導入に当たっては、この壁をいかに克服するかという点が課題だ」と分析する。IDC JapanでPC,携帯端末およびクライアントソリューション担当シニアマーケットアナリストを務める菅原啓氏は、「顧客の業務に合わせた簡易体験デモ環境などの提供を通じて、『何ができるか』を明確にアピールする必要がある」としている。
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