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AI活用でSNSやブログから“市民の声”を抽出――NTTデータとSocial Coin、地域理解ソリューションの開発で協業

NTTデータとスペインのスタートアップ企業Social Coinは、AIを活用した「地域理解ソリューション」を共同開発する。ソーシャルメディアやブログなどから得た“市民の声”をAIで解析し、地域やコミュニティーに潜在する意識やニーズを抽出し、社会課題や地域課題の解決につなげる。

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 NTTデータは2018年2月23日、スペイン・バルセロナを拠点とするITベンチャーSocial Coinと、ソーシャルメディアをはじめとしたインターネット上から得た“市民の声”をAI(人工知能)で解析し、地域やコミュニティーに対する潜在的な意識や感情を理解する「地域理解ソリューション」の開発で協業すると発表した。自治体や地域ビジネスに取り組む企業向けのソリューションとして商用化を目指す。

 今回の協業では、Social CoinのAIを活用した独自のクラスタリング技術と、NTTデータが保有する全世界のTwitterデータと言語解析技術を掛け合わせ、地域の課題となっている事柄やそれにつながるヒント、アイデアについて理解を深め、社会課題や地域課題の解決につなげるとしている。

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「地域理解ソリューション」のイメージ図。Social Coinは、AIを活用した独自クラスタリング技術とサービス開発を担当。NTTデータは、Twitter全量データおよび言語解析結果の提供を担当する

 両社によると、国連で193カ国の合意のもと「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められ、地球規模での社会課題・地域課題の解決が求められており、そのためには国・自治体だけでなく、企業、市民が一体となった対応が求められているが、地域に対する市民の声を網羅的に抽出することは困難だったという。

 今回両社が開発を進めるソリューションでは、Twitterをはじめとするソーシャルメディアやブログといったインターネット上に投稿された大量データから、都市やコミュニティーに関する投稿を選別し、重要な課題の候補を導出できることから、自治体や企業は、都市や地域における実際の市民の声を容易に把握できるようになるという。

 都市間で多角的に比較することもでき、対象地域やコミュニティーでどのような課題への意識が高まっているか、それはポジティブなものかネガティブなものかなど、広く一般市民の声を分析、抽出できるとしている。

 課題分類軸はSDGsに準拠して設定できるため、SDGsに対応した課題や対策へのアプローチにも活用できる。

 さらに、両社は、将来的に同ソリューションを活用した地域分析コンサルティングサービスの提供を予定しており、その推進母体として、2018年3月に「地域課題発見ラボ」を立ち上げる。日本、スペイン、世界の主要都市のデータを比較分析することで、SDGsに関連付けた地域課題に関する知見を深め、地方創生などの地域活性につなげる材料を提供する。

 また、同ソリューションの本格展開を開始する際には、ファーストユーザーとして、NTTデータが東京・大手町に立ち上げたイノベーション創発施設「BeSTA Fintech Lab」に提供する予定だ。BeSTA FinTech Labは、地方銀行のオープンイノベーションの取り組みをサポートしており、その活動の一環として、同ソリューションを活用してBeSTA FinTech Lab自らが地域や地銀の課題を抽出し、活動の高度化に取り組む。

 今後両社は、地域課題発見ラボによる地域分析の知見を提供、発信するとともに、2018年度中に両社で国内10クライアント、海外20クライアントの分析コンサルティングの受注を目指し、さらに2020年度をめどに、社会や地域の課題解決に向けて「市民を動機付けし、直接参画や解決が可能な市民参画プラットフォーム」の開発を目指すとしている。

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