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管理者なら知っておきたい、企業ネットワーク内のWindows 10 Homeエディションの管理と制約企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(22)(2/2 ページ)

Windows XPから提供が始まった「Home」エディションは、文字通り、個人ユーザーが家庭(ホーム)内でコンピュータを使用する(楽しむ)ことを目的として用意されました。しかし、歴史的ないきさつやコスト的な理由などで、企業クライアントでHomeエディションが利用されるケースが現実としてありました。今回は、Windows 10 Homeエディションの制約について紹介します。

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そもそもWSUSサーバは、Windows 10 Homeを想定していない

 Windows Server 2012以降のWSUSサーバは、Windows 10の更新管理に対応しており、品質更新プログラム(セキュリティ更新やバグ修正)と機能更新プログラム(アップグレード)の両方をWSUSクライアントに展開できます。以下の画面4は、WSUSに同期された機能更新プログラム(Upgrades分類)を一覧表示したものです。

画面4
画面4 WSUSに対して、Windows 10 Homeエディションの機能更新プログラムは提供されたことがない

 2018年1月から、ボリュームライセンス向けは「Windows 10(ビジネスエディション)」、製品版(OEMプリインストール製品やパッケージ製品)は「Windows 10(コンシューマーエディション)」というタイトルで提供されるようになったため、分かりにくいのですが、それ以前の機能更新プログラムのタイトルを見てください。Homeエディションが存在しないことに気付いたでしょうか。つまり、Windows 10 Homeエディションは、WSUSによる更新管理の対象になっていないということが分かります。

Windows 10のモバイルデバイス管理(MDM)機能でポリシー/アクセス制御

 Windows 10は、モバイルデバイス管理(MDM)機能が強化されています。Windows 10のMDM機能は、Homeエディションにも搭載されています。この機能は本来、企業におけるWindows 10 PCのBYOD(Bring Your Own Device:個人デバイスの業務利用)利用シナリオや、個人所有/会社所有のWindows 10 Mobileデバイスの利用シナリオを想定したものですが、Windows 10 Homeの企業内管理機能を補完するものとしても利用できます(画面5)。

画面5
画面5 Windows 10 Homeエディションでも利用できるMDM機能(これはセットアップを開始しているところ)

 例えば、MDMポリシーによるセキュリティポリシーの配布(PINの強度やロック強制など)、Azure Active DirectoryのIDとデバイス登録に基づいたクラウドリソースや社内リソースへのアクセス制御などが可能です。

 ただし、Windows 10のMDM機能でサポートされる全ての機能が、Homeエディションでも利用できるわけではありません。また、MDM機能を利用するには、「Microsoft Intune」や他社MDMソリューションが必要になります。

 企業内の通常のクライアントPCとして、これまでと同じように利用したいのであれば、やはり、Windows 10 ProまたはEnterpriseへ、エディションをアップグレード(有料)するのが早道です。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


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