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デジタル化の優先度や進度はどうなっているか、業種別に見るGartner Insights Pickup(59)

GartnerのCIO調査によると、ビジネスのデジタル化は全ての業種でビジネス目標の上位10項目に入っている。ただし、取り組みの進展や成熟度は業界によって異なる。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 「デジタルビジネスへの全社的なシフト」という考え方は、ほとんどのCxO(最高責任者レベル)の役員にとって、数年前までは観念的なものだった。だが2018年には、これら役員の多くにとって紛れもない現実だ。Gartnerの調査「Gartner 2018 CIO Agenda」によると、デジタル化は全ての業種で最優先目標の1つとなっている。

 「CEOを対象としたGartnerの別の調査では、回答者の47%がデジタルビジネスを進めるよう取締役会に求められていると答えている。どの業種のCIOも、デジタル化がこのように全社的に注力するテーマとなっていることを肌で感じている」。Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるジャンマーティン・ローウェンダール氏は、2018年3月にドバイで開催されたGartner Symposium/ITxpo 2018でそう語った。

主要なビジネス目標:デジタル化の優先順位は?

 Gartner 2018 CIO Agendaは、98カ国の主要15業種のCIO 3160人から回答を得た。この調査の結果は、デジタル化が全ての業種で、CIOが優先的に取り組む目標となっていることを示している。

 15業種のうち11業種で「自組織で2018年に最も優先順位の高いビジネス目標は何か」という質問に対し、「デジタルビジネス/デジタルトランスフォーメーション」を挙げたCIOの割合が上位3位以内に入っている。「これは、多くの業種でデジタル化が緊急性を増していることを示している」(ローウェンダール氏)

 特に、銀行および投資サービス、通信、政府機関の3業種では、こうしたCIOの割合が最も高く、それぞれ26%、25%、18%に達している。


資料:Gartner(2017年10月)

銀行と小売りがデジタルマーケティング投資拡大に最も積極的

 また、デジタル化への資金投入の優先度について見ると、15業種のうち8業種において、2018年に最もIT投資を増やす分野として「デジタル化/デジタルマーケティング」を挙げたCIOの割合が上位3位以内に入っている。

 だが、こうしたCIOの割合が最も高い業種は、銀行および投資サービスと小売りの2つにとどまる。

 これらの業種は、FinTechのスタートアップ(新興企業)やAmazon、Alibabaのようなデジタルディスラプター(創造的破壊者)の影響を、真っ先に最も受ける部類に入る。小売業者が市場シェアを伸ばすには、顧客が何を重視しているかに基づいて並外れた顧客体験を提供しなければならない。そして、適切な顧客体験の提供に役立つデジタルビジネストランスフォーメーションプロジェクトを設計しなければならない。

 最近、WalmartがGoogleと商品注文に関する提携を結んだことは、協業による顧客体験のデジタル化の一例でもある。「今日の小売業者は顧客のライフスタイルを理解し、その実現と改善をサポートしなければならない。顧客は小売業者のさまざまな販売チャンネルで、柔軟かつ一貫した方法で買い物ができることを期待する」とローウェンダール氏は説明する。

デジタル化の進度は業種によってまちまち

 ほとんどの業種のCIOは、デジタルビジネスの取り組みを実験的なものから本格化させ、拡大するのに苦労している。Gartner 2018 CIO Agenda調査では、回答したCIOの過半数(54%)が所属する企業や組織が、取り組み計画を作成、試行している段階か、当初の計画を実行している段階にあることが分かった。これらは、デジタルビジネスの展開に必要な変更を実装する段階だが、特に運輸(67%)、小売り(62%)、通信(61%)の3業種は、これらの段階にある企業の割合が高い。

 一方、割合は低いものの(17%)、一部の企業や組織は壁を乗り越えて取り組みを拡大したり(14%)、取り組みの成果を得たり(3%)している。

 「両方の段階を合計した割合が、メディアは33%、通信は29%に上る。この2業種では、デジタルビジネスの取り組みの規模と影響を拡大し、それらを成熟させてその効果を享受している先進企業の割合の高さが際立っている」(ローウェンダール氏)

 銀行および投資サービスや医療など、一部の業種は、この2つの先進業種には後れを取っているものの、デジタルビジネスの取り組みを効率的に拡大することで成果につなげている。

 デジタルビジネスが定着する中、CIOの仕事とIT部門に対するデジタルビジネスの影響は、どの業種でも極めて大きい。「“デジタルエコシステム”がますます拡大する今日の経済では、統合のスピードが成功の決め手になる。CIOは、社内外で提供されるサービスのオーケストレーションを担うエキスパートになるだろう」(ローウェンダール氏)

あなたの会社のデジタル化の進度は?

 Gartnerは、デジタル化の進度を測定して同業他社と比較したい企業向けに「Gartner Digital Progress: Organizational Assessment Tool 2018」を公開している。このツールは、ユーザーが11個の簡単な質問に全て答えると、業界ベンチマーキングレポートを提供してくれる。

出典:Is Digital a Priority for Your Industry?(Smarter with Gartner)

筆者 Laurence Goasduff

Director, Public Relations


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