続・フルバックアップからのWindows 10の復元が失敗!? でもそれが最後の希望だとしたら……:山市良のうぃんどうず日記(129)(1/2 ページ)
前回は、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)へのアップグレードが失敗する古いPCで、Windows 10 バージョン1803をクリーンインストールする実験的な試み(筆者としては成功)を紹介しました。その後、Windows 10 バージョン1709の最後のバックアップを復元しようとしたところ、「イメージでシステムを回復」がエラーで失敗。でも、慌てることはありません。そのバックアップがちゃんと取れているなら、何とかなります。
問題ないはずのバックアップからの復元に失敗。でも慌てない
前回の実験的な試みでは、PCのパーティションを再構成し、クリーンインストールしたWindows 10 x86 バージョン1803のイメージを新たなボリュームに展開するというものでした。Windows 10 x86 バージョン1803版の「Windows回復環境(Windows RE)」がSTOPエラーで使えないという問題も、Windows 10 x86 バージョン1709版のWindows REに差し替えることで回避することができました。
できることが分かったので、そのPCで最後に作成した、正規にライセンスされているWindows 10 x86 バージョン1709のバックアップ(システムイメージ)でシステムをリストアしようとしたところ、画面1の左のエラーに遭遇。
バックアップ後のパーティション再構成や、ローカルにインストールしたWindows RE環境からの実行だったのが悪かったのかと思い、バックアップと同時に作成しておいた「回復ドライブ」(システムイメージの作成完了直後、またはRecoveryDrive.exeで作成可能)で起動してみても、同じエラーが再現しました。システム修復ディスクとは、今起動に使用した回復ドライブのことです。別の方法をいろいろと試していて、進んだと思ったら、今度は画面1の右のようなエラーに遭遇しました。
リストアに失敗する理由は分かりませんが、筆者は慌てませんし、理由を調べるつもりもありません。このバックアップは過去にリストアに使用したことがあり(Windows 10 x86 バージョン1803へのアップグレードに失敗したとき)、そのときは問題なく回復できました。つまり、バックアップやバックアップに含まれるデータには問題がないことは分かっています。バックアップからの復元失敗に対処する方法は、本連載第122回で幾つか紹介しました。
同じ方法を使うのは面白くないので、今回はバックアップに含まれるWindowsパーティション(バックアップ時のC:\ドライブ)だけを復元し、システムパーティションやWindows RE環境は自分で準備することにしました。前回使用したテクニックの応用です。
復元対象バージョンのWindows REで起動し、パーティションを準備する
まず、前回のバックアップの時に作成しておいた「回復ドライブ」(USBメディア)を使用してPCを起動し、トラブルシューティングオプションのコマンドプロンプトを開きます。次に、「DISKPART」コマンドでパーティションをいったん削除し、再構成します。
現在のシステムパーティションを維持する場合は、ローカルのWindows REのコマンドプロンプトから実行することもできます。可能な限り、復元対象のWindows 10のバージョンと、Windows REのバージョンをそろえることをお勧めします。ちなみに、Windows 10 x86 バージョン1803のシステムイメージの作成と回復には、どちらも不具合が存在する疑いがあります。
- Windows 10 ver 1803のシステムイメージの作成失敗(x86のみ)(筆者の個人ブログ:山市良のえぬなんとかわーるど)
- Windows 10 ver 1803でver 1709以前のリストア失敗(x86のみ)(筆者の個人ブログ:山市良のえぬなんとかわーるど)
前回説明したように、このPCのパーティション構成には無駄な部分が存在し、前回の試みで削除してしまいました。Windows 10の起動と実行に使用されないボリュームのデータは、そもそもバックアップには含まれません。しかしながら、パーティションの構成情報はバックアップに含まれています。
今回はWindowsパーティションだけを復元するので、パーティション構成は標準的なもので構いません。そのため、前回と同じ500MB程度のシステムパーティションをブート用およびWindows REの回復ツール用に作成し、残りをWindowsパーティションにしました。作業用に割り当てたドライブ文字は「S」と「W」です。DISKPARTコマンドによる操作手順については、前回と全く同じです。パーティション削除後(まっさらなディスクと同様)からの操作は、次のようになります。
DISKPART DISKPART> list disk DISKPART> select disk 0 DISKPART> create partition primary size=550 DISKPART> format quick fs=NTFS label=System DISKPART> assign letter=S DISKPART> active DISKPART> create partition primary DISKPART> format quick fs=NTFS label=Windows DISKPART> assign letter=W DISKPART> exit
参考までに、UEFIベースのシステムでのパーティション作成方法も紹介しておきます。
DISKPART DISKPART> select disk 0 DISKPART> clean DISKPART> convert gpt DISKPART> create partition efi size=100 DISKPART> format quick fs=fat32 label=System DISKPART> assign letter=S DISKPART> create partition mbr size=16 DISKPART> create partition primary DISKPART> shrink minimum=500 DISKPART> format quick fs=NTFS label=Windows DISKPART> assign letter=W DISKPART> create partition primary DISKPART> format quick fs=NTFS label=Recovery DISKPART> assign letter=R DISKPART> set id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac DISKPART> gpt attributes=0x8000000000000001 DISKPART> exit
前回も紹介しましたが、BIOS/MBRベースのパーティション構成と、UEFI/GPTベースのパーティション構成については、以下のドキュメントが参考になります。
- BIOS/MBR-based hard drive partitions[英語](Microsoft Hardware Dev Center)
- UEFI/GPT-based hard drive partitions[英語](Microsoft Hardware Dev Center)
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