センサーで農地管理を実践学習――農業校長協会、ベジタリア、NTTドコモが農業高等学校向けに“農業ICT”を開始
全国農業高等学校長協会、ベジタリア、NTTドコモは、農業高等学校に“農業ICT”と活用支援を提供する取り組みを開始する。農業ICTとして、クラウド型営農記録ツール「アグリノート」、農業用センサーシステム「パディウォッチ」「フィールドサーバ」を提供する。
全国農業高等学校長協会(以下、農業校長協会)、ベジタリア、NTTドコモは2018年6月12日、全国の農業高等学校に、センサーなどを使って農地を管理する“農業ICT”の提供と活用支援を開始すると発表した。
この取り組みには、農業高等学校の生徒に最先端の農業ICTを学ぶ機会を提供し、次代の農業を担う人材を輩出する狙いがある。2018年6月13日から、既に参加が決まっている各地の農業高等学校と取り組みを開始する。
提供する農業ICTツール/システムは、営農記録ツール「アグリノート(agri-note)」と、農業用センサーシステム「パディウォッチ(PaddyWatch)」「フィールドサーバ(FieldServer)」。
アグリノートは、ベジタリアのグループ会社であるウォーターセルが開発したクラウド型農場管理ツール。航空写真ベースの視覚的な画面で農地を管理し、農作業記録やリアルタイム分析、組織内でのデータ共有などが行える。
パディウォッチは、センサーを使って水田の水位と水温を計測する水稲向けの水田管理システム。水稲生産に重要な水位や水温などを自動計測し、データ解析を基に、高温登熟対策、病虫害雑草予察、収穫時期予測、作物種別水管理などを管理できる。
フィールドサーバは、栽培作物の特性や農場環境に応じてセンサーを組み合わせ、作物の生育状況や環境を常時モニタリングできる農場管理システム。CO2測定、土壌温度、土壌水分、土壌EC(電気伝導率)などの土壌環境と、温度、湿度、日射などの環境のデータを測定し、データに基づいた栽培管理や、凍霜害、病虫害被害などが予測できる。
今回の取り組みでは、これらのツール/システムを使用して、各農業高等学校で栽培記録データを蓄積、活用するとともに、地域連携を目的とした共有や、全国の農業高等学校での栽培記録データの集計を基にした全国的な状況把握などへの活用も念頭に置く。
取り組みへの参加希望校の取りまとめなどは、農業校長協会が行い、アグリノートと各種センサー、運用環境などの提供と活用支援(活用方法立案、マニュアル作成など)は、ベジタリアとNTTドコモが担当する。
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