【トレースフラグ 2301】──実行プランの作成方法を変更する:SQL Serverトレースフラグレファレンス(30)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ2301の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ2301」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ2301は、実行プランの作成方法を変更する設定です。SQL Server 2005 SP1以降に対応します。
SQL Serverがクエリを実行するためには、SQL Serverトラブルシューティング連載に掲載したように実行プランが必要です。
既定の動作で作成される実行プランは、多くの場合、効率的です。しかし、一部のクエリでは非効率な実行プランを選択してしまうことがあります。トレースフラグ2301を有効にすると、実行プラン作成に関する内容を一部変更するため、効率的な実行プランが作成される可能性が生まれます。
以下に、関連するMicrosoftのドキュメントを挙げます。
設定可能なスコープ
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | ○ | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
動作例
互換性レベル110で動作しているデータベースであるクエリを実行しました。実際の行数が196行のところ、予測行数を779.761行と算出した箇所があったため、Hash Matchで結合する実行プランが選択されました(図1)。
トレースフラグ2301を有効にして同じクエリを実行すると、予測行数は78.0025行となり、実際の196行に近づきました。その結果、結合方法としてNested Loopsが選択されました(図2)。
トレースフラグ2301を有効にすることで予測行数や結合方法が変化しました。しかし、この変化は全てのクエリに対して良い結果をもたらすとは限りません。
クエリによってはトレースフラグ2301を有効にした結果、効率の悪い実行プランが選択されてしまう可能性もあります。まずは既定の設定で動作させ、効率の悪い実行プランを使用しているクエリが見つかったら、対策案の一つとしてクエリレベルで個別にトレースフラグ2301を実装し、動作を確認することをお勧めします。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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