経費精算や勤怠管理の導入進む、IDCが働き方改革関連ツールを調査:PCモニターとビジネスチャットが必須か
IDC Japanは、働き方改革関連ツールの利用動向に関する調査結果を発表した。今後も使用したいツールではノートPCに接続するモニターがトップ。テレワークの企業導入率は上がっているものの、実際の利用率は低い。
IDC Japanは2018年7月25日、日本国内での働き方改革関連ICTツールの利用動向に関する調査結果を発表した。それによると、「旅費/経費精算」「勤怠管理」「ワークフロー」の導入率が高かった。テレワークの導入率は上がっているものの、従業員の利用率が低いことも分かった。
同調査の対象は、従業員数が100人以上の企業で働くIT部門の従業員やそれ以外の従業員、経営層。IDCが働き方改革に貢献すると判断したICTソリューションを中心に、導入状況や利用状況、ソリューションの評価、今後の導入予定に加え、テレワークの利用状況と評価について質問した。テレワークは、IDCが働き方改革の進行程度を示す指標の一つとしている。
企業の規模を問わずIT部門全体で導入率の高いツールは、上位から順に「旅費/経費精算」(47.5%)、「勤怠管理」(43.8%)、「ワークフロー」(42.5%)だった。大企業(従業員数1000人以上)では全般に導入率が高い傾向にあり、中でもリモートアクセスやテレビ/ビデオ会議システムの導入がワークフローと並んで比較的進んでいる。
従業員が現在使っていて今後も使用したいツールとしては、ノートPCに接続するモニター(74.0%)とビジネスチャット(73.8%)が上位に挙がった。IDCはこの結果を予想していなかったという。これらのツールの利用率は低いものの、実際に使用するとビジネスの必須アイテムに変わるようだ。
テレワークは従業員の体験率が低い
テレワークについては、大企業での導入率は50.0%なのに対して中堅企業(従業員数100〜999人)は22.5%と、企業規模による格差があった。テレワークについては2つの課題があるという。
一つは、回答者自身の体験率が企業の導入率を大きく下回っていたこと。テレワークを企業が導入していても、実際に利用する従業員は一部にとどまっていることが分かる。
もう一つはテレワークを実際に体験した従業員の評価だ。テレワークでは時間を有効利用できることが評価されているものの、社内ネットワークへのアクセス制限やコミュニケーションが十分に取れず、タイムリーでもないことが問題として挙げられていた。
IDC Japanで、PC,携帯端末&クライアントソリューションのグループマネージャーを務める市川和子氏は、「働き方改革には、好調な日本経済と政府の音頭取りなどの追い風が吹いている。残業規制法案は、大企業では2019年4月から適用される。テレワークの施策も2020年をターゲットとして動いている。2020年以降の経済状況に不透明感があることを考えると、ITサプライヤーはこの2年間を念頭に、クライントの潜在需要も含めた需要の的確な把握と提案力でビジネスの刈り取りにまい進すべきだ」と述べている。
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