AIチャットbotなどの対話型AI市場、倍増成長を続け、2022年には132億円規模に――矢野経済研究所が予測
矢野経済研究所が国内の対話型AIシステムの市場規模を発表。2017年は11億円で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた多言語対応による接客ニーズの拡大などにより、今後5年で10倍以上の規模に拡大する見通し。2022年には132億円に達すると予測する。
矢野経済研究所は2018年8月20日、国内の対話型AIシステム市場に関する調査結果を発表した。
チャットbot、バーチャルアシスタントなどの対話型AI(人工知能)システムの市場規模(事業者売上高ベース)は、2017年に11億円に達し、2018年には24億円になると推計。インバウンド需要による多言語対応による接客ニーズの拡大などから、2022年には132億円に成長する見通しだという。
なお、同調査は、チャットbot、バーチャルアシスタントなどの対話型AI技術を開発、提供する国内企業を対象に、2017年7月から2018年6月に実施。テキストや音声をインタフェースとした対話型AIシステムのソフトウェアを対象とし、対話機能を持つデバイス(スマートスピーカーやスマートフォン、ロボットなど)などのハードウェアは含まない。
矢野経済研究所によると、対話型AIシステムは利用目的が分かりやすいため、AIシステム導入の入り口となる技術として関心が高いと分析。2016年には、LINEやFacebookなどの利用率が高いSNSやメッセージツールをプラットフォームとするチャットbotが提供されるようになり、対話型AIシステムの利用者が増加。企業では、働き方改革をきっかけとした業務の効率化を目的に、接客や問い合わせ対応に対話型AIシステムを活用する動きが広がっている。
今後は、東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本の先端技術のPRや多言語対応による接客を目的とした対話型AIシステムの利用が拡大する見込みで、2020年の国内対話型AIシステム市場規模(事業者売上高ベース)は87億円に拡大すると予測。
また、現在はテキスト中心の対話方法だが、音声をインタフェースとした対話の利用も拡大すると見ている。
ただし、対話型AIシステムが人間並みに自然な対話を行うのは技術的にまだ難しく、利用者の満足度の高い対話システムを構築・維持するにはコストが高いという課題がある。そのため、初期段階の導入が一段落する2021年以降は市場の伸び率はやや緩やかになり、課題の見直しや適正な用途で利用される傾向が強まると推測。2022年の同市場規模は132億円になると予測している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2017年の市場規模は2016年のほぼ倍――IDC Japanが今後の「国内コグニティブ/AIシステム」の市場規模を予測
IDC Japanは、「国内コグニティブ/AIシステム」の市場規模について、2017年の分析と2018〜2022年の予測を発表した。2017年の市場規模は、前年比倍増の274億7600万円。2022年には2947億5400万円に達すると予測する。 - 東芝らがマラソンなどの中継向け映像認識AIを開発、選手に追従し映像を自動編集
東芝と東芝デジタルソリューションズは番組制作を支援する映像認識AIを開発した。ロードレース中の選手を検出、追従し、所属するチーム名もリアルタイムで認識する。追い越しシーンなど、レース中の見どころを自動的に抽出できるため、長時間の人的作業負荷を軽減できる。 - クライアント仮想化導入企業の約6割がデジタルワークスペースを導入、経営・ビジネス課題への貢献度は4割――IDC調べ
IDC Japanがまとめた国内クライアント仮想化市場のユーザー動向調査によると、クライアント仮想化の導入済み企業の55.8%がデジタルワークスペースを導入しており、業務、用途、利用場所は拡張傾向にあった。また、経営課題、ビジネス課題へのデジタルワークスペースの貢献度は約4割にとどまった。 - 最適な種まきタイミングを予測――AI活用が進む5分野、その活用方法とは
Microsoft AsiaのRalph Haupter氏は、アジアで人工知能の導入が功を奏している5つの分野を挙げ、その成果を語った。具体的には、「アクセシビリティー」「農業」「気候変動」「教育」「ヘルスケア」の5分野である。 - 三井住友銀行、Azure上で動くAIチャットbotのライセンス提供を開始 JSOL、NECらがサービスを販売
三井住友銀行は、日本マイクロソフトと共同開発した対話型AI自動応答システム「SMBCチャットボット」のライセンス提供を開始した。業務効率化や生産性向上などのシステムソリューションを展開するITベンダー向けに提供し、サービス拡販を目指す。