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「Quorum」で学ぶ、“トランザクション”と“プライベートトランザクション”の発行方法Ethereumではじめる“スマートコントラクト開発”(終)(1/2 ページ)

Ethereumをベースに、企業向けに改良されているスマートコントラクトプラットフォーム「Quorum」を使った、“トランザクション”と“プライベートトランザクション”の発行方法を紹介する。

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超入門スマートコントラクト

 「スマートコントラクト」は、契約の条件確認や履行などを自動で行えることから、ブロックチェーン技術を活用したアプリケーションプラットフォームの中でも研究開発が進み、注目されている技術です。

 本連載では、スマートコントラクトの概念や仕組みを整理しつつ、DApps(Decentralized Applications:分散ノード上で実行されるアプリケーション)でのスマートコントラクトのコーディング方法、企業向けアプリケーション開発の実践方法について解説しています。

 前回は、Quorumの概要、サンプルの動作について説明しました。今回は2種類のトランザクション発行方法を紹介します。1つ目は「通常のトランザクション」。2つ目は「プライベートトランザクション」です。

通常のトランザクションを発行

手順1:コントラクトをコンパイルする

 まず、コマンドプロンプトを起動して、コントラクトをコンパイルするためのライブラリをインストールします。

$ npm install -g solc

 次に、下記の内容でコントラクトを作成し、任意の場所に保存します。

// SingleNumRegister.sol
pragma solidity ^0.4.0;
contract SingleNumRegister {
    uint storedData;
    function set(uint x) public{
        storedData = x;
    }
    function get() public constant returns (uint retVal){
        return storedData;
    }
}

 コントラクトと同一の階層に移動し、下記コマンドを実行してコンパイルします。

$ cd sample-contract
$ solcjs --abi --bin SingleNumRegister.sol 

 以下のようにabiファイルとbinファイルが出力されていればコンパイル完了です。

.
├── SingleNumRegister.sol
├── SingleNumRegister_sol_SingleNumRegister.abi
└── SingleNumRegister_sol_SingleNumRegister.bin

手順2:コントラクトをデプロイする

 前回の記事で構築したQuorumの仮想環境に接続します。

$ cd quorum-examples
$ vagrant ssh

 次に、仮想環境でQuorumを起動し、node1のコンソールを起動します。

$ cd quorum-examples/7nodes
$ ./raft-start.sh
$ geth attach qdata/dd1/geth.ipc

 abiファイル、binファイルの中身をそれぞれコピーし、下記のコマンドをnode1のコンソールで実行します。コマンドの実行結果に戻り値が存在しない場合は、コンソールに「undefined」と表示されますが、コマンドは正常に終了しています。

> var bin = "0x<binファイルの中身>"
> var abi = <abiファイルの中身>

 続けて、これらの変数を用いて下記のコマンドを実行し、コントラクトをデプロイします。

> var contract = eth.contract(abi)
> var myContract = contract.new({ from: eth.accounts[0], data: bin})

 下記のコマンドでデプロイ結果を確認します。

> myContract

 以下のような内容が表示され、addressに値が設定されていればデプロイ完了です。

{
  abi: [{
      constant: false,
      inputs: [{...}],
      name: "set",
      outputs: [],
      payable: false,
      stateMutability: "nonpayable",
      type: "function"
  }, {
      constant: true,
      inputs: [],
      name: "get",
      outputs: [{...}],
      payable: false,
      stateMutability: "view",
      type: "function"
  }],
  address: "0x87ec4e85245d901de66c09c96bd53c8146e0c12d",
  transactionHash: "0x7d57f2dcf0ad2d1f68d73c64db781003d2f56a2795c83d3fd3b13d46df8a72f4",
  allEvents: function(),
  get: function(),
  set: function()
}

手順3:トランザクションを発行する

 デプロイしたコントラクトをコールするためにトランザクションを発行します。まずは、コントラクトへアクセスするオブジェクトを生成するため、下記のコマンドをnode1のコンソールで実行します。

> var cnt = eth.contract(myContract.abi).at(myContract.address)

 このオブジェクト「cnt」を用いてContractにアクセスをし、コントラクトの関数「set」を下記コマンドで呼び出します。

> cnt.set.sendTransaction(6,{from:eth.accounts[0]})
"0x99b5fddd7be35aa442596187088884e8317723207d3cbbb7d24e3e0a1dc6195c"

 このコマンドを実行した際の戻り値は、トランザクションIDです。このトランザクションIDを使ってトランザクションの状態を確認します。

> eth.getTransaction("0x99b5fddd7be35aa442596187088884e8317723207d3cbbb7d24e3e0a1dc6195c")

 以下のような内容が表示され、blockNumberに値が設定されていればトランザクションが確定します。

{
  blockHash: "0x1eb01e3320066fe1fe3c8510ae057fdc29eb65fb9c199e9d5b62d217d8d08e2b",
  blockNumber: 10452,
  from: "0xca843569e3427144cead5e4d5999a3d0ccf92b8e",
  gas: 90000,
  gasPrice: 0,
  hash: "0x99b5fddd7be35aa442596187088884e8317723207d3cbbb7d24e3e0a1dc6195c",
  input: "0x60fe47b10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000006",
  nonce: 2,
  r: "0xa95a9cc1e0f849a86762268ddfeb2cee1271ca8f44efb004d09ae43d4114c569",
  s: "0x7903dc0c8259a41738b3932bcc3582e92707d07cecd63e805a6ea1ba67a77690",
  to: "0x87ec4e85245d901de66c09c96bd53c8146e0c12d",
  transactionIndex: 0,
  v: "0x1b",
  value: 0
}

 コントラクトの関数「get」を下記コマンドで呼び出し、登録した値を参照します。

> cnt.get()
6

 6と表示されれば、トランザクションの発行は完了です。完了後はexitコマンドでコンソールを閉じます。

> exit

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