文系エンジニアですが、ハッカーになれますか?:教えて! キラキラお兄さん(3/3 ページ)
セキュリティ会社起業、ファイル共有ソフト「Winny」の暗号解読成功、政府の「情報保全システムに関する有識者会議」メンバー、「CTFチャレンジジャパン」初代王者――華々しい経歴をほこる“ホワイトハッカー”杉浦隆幸さんは、20代で創業し17年たった会社を去った後、新しい取り組みを始めた――。
「ハッカー」は生まれつくもの? なれるもの?
さて、杉浦さんのように、なるべくしてハッカーになった人ならばともかく、「これからハッカーになりたい」と考える人はどうしたらいいのだろうか。
残念だが、ある程度若いうちからコンピュータや情報処理に関する理解を培ってこなければ、何らかの分野でトガったハッカーになるのは難しいかもしれないと杉浦さんは言う。
「OSやプログラミング言語、アプリケーションの動き方や物理的な仕組みを理解するには、ある程度の時間が必要で、社会人になってからそういった事柄を勉強する時間を取れるかというと難しいでしょう。大学などでちゃんと勉強してほしいですね」
逆に、一度そうした基礎知識が身に付けば、IoTでも車でも、あるいは他の分野でも、基礎となる部分にプラスしていけるという。
だからといって、社会人になるまで文系だった人に活躍の場がないというわけではない。
「セキュリティにもテクニカルな部分とマネジメントの部分があります。後者ならば文系出身でも活躍できるんじゃないでしょうか」
ハッカーは生まれつきのものかどうか尋ねてみると、「まずは何かやってみることが何よりも重要です。セキュリティでなくてもいいので、ものを作ったり、あるいは何かを作っている人のところにいってまねしてみたり……そうやって何かをやっているうちに、自ずとハッカーになるんじゃないでしょうか」と杉浦さんは答えてくれた。ただ、「そもそもチャンスはそんなにないし、つかめるだけのことをしていないとチャンスはつかめません」と続ける。
最近は次々とハッカソンに参加しては入賞している杉浦さん。才能に恵まれた人だと思ってしまいがちだが「僕もセキュリティをやるまでは、一番が見えたことはなかった。セキュリティっていろいろな分野があり、一説には4000種類とも言われるほどいろいろなスキルが求められる。実は『一番』が取りやすい分野だと思います」と語る。
人類の歴史を振り返ってみても、情報関連の技術が大きく進展して垣根がなくなり、誰でも知りたいことを知れるようになった今の時代は、「一番楽しい時期だと思います」と杉浦さん。「後は、生きているうちに早めに電脳化したいですね」と真顔で言い、続けて「これからも、もっともっと面白いことをしていきたい」と希望を語った。
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