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動画処理を低コストで超高速化するフレームワークを開発、カリフォルニア大大容量動画のインタラクティブ処理に向く

カリフォルニア大学サンディエゴ校のコンピュータサイエンスの研究チームが、動画の検索やエンコード、変換、編集を現行技術より桁違いに高速化する新フレームワーク「Sprocket」を開発した。動画の長さにかかわらず、検索に要する時間がほぼ変わらないことが特徴だ。

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 米カリフォルニア大学サンディエゴ校は、2018年10月22日(米国時間)、同校のコンピュータサイエンスの研究チームが、動画のエンコードや変換、編集を現行技術より桁違いに高速化するフレームワークを開発したと発表した。

 研究チームは、2018年10月11〜13日に開催されたACM Symposium on Cloud Computingで、開発成果を発表した。

 研究チームによれば、インターネット上を流れるトラフィックのうち、約70%を動画が占める。ログファイルやデータベースのトランザクション、Webデータなど数テラバイトのデータを扱うフレームワークは分散処理技術「MapReduce」など幾つかあるものの、動画処理に利用できるフレームワークがほとんどない。

 そこで、特にインタラクティブな処理ができること、すなわち遅延が少なくなるようなスケーラブルなフレームワーク「Sprocket」を開発した。ユーザー独自の処理をプログラミング言語で記述し、分散処理部分をSprocketに任せることで、動画の圧縮から顔検知まで幅広い用途が広がるという。

 Sprocketは、動画内の画像検索を特に得意としている。例えば、夏休みに撮った3時間分の動画から、特定の人物だけが映っている動画だけをわずか数秒で探し当て、まとめるといったことが可能だ。動画の長さにかかわらず、検索処理時間を常に短くできる。

 動画ファイルは一般に一定時間ごとに差し込まれるキーフレームと呼ばれる画像と、キーフレームからの差分を時系列で記録した数十個のファイルを単位としたGOP(Group Of Pictures)が大量に集まったフォーマットを採る。

 Sprocketでは動画ファイルをGOP単位に分割し、それらをクラウドサービス内の数千台のサーバを用いて並列処理することで、非常に短い時間に大量のコンピューティング能力を利用できる。

 このような処理を可能にするため、クラウド技術を利用した。具体的にはサーバレスアーキテクチャを採るAWS(Amazon Web Services)のAWS Lambdaプラットフォームを利用した。

 このため、動画処理時間が短いだけでなく、コストも極めて低くできた。例えば、2時間分の動画(1080p、毎秒25フレーム)の処理を、他の方法では数十分かかるところを30秒で実行し、そのコストは1ドルに満たない。

 「今ではクラウドコンピューティングのおかげにより、誰もがほんの数ドルの費用で、1秒以下の時間単位で数千台のサーバにアクセスできる」と研究者は述べている。

 研究チームは現在、Sprocketを利用したさまざまなアプリケーションを作成している。その1つは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の講義を収録した動画を検索し、講師のPowerPointスライドを見つけて、スライドタイトルのインデックスを作成する。これにより、学生が講義にある特定のスライドに関連する部分にジャンブできるようになっている。

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