ゆうちょ銀行、投資信託の口座開設業務をRPAで自動化 作業時間を3分の1に――富士通の業務自動化システムを導入
ゆうちょ銀行は、これまで行員が人手で行っていた投資信託の口座開設業務に、富士通が開発した業務自動化システムを導入。OCRとRPAを活用して、顧客から紙で届く口座開設申込書の読み取り、内容確認、口座開設手続きを自動化した。
富士通は2018年11月26日、ゆうちょ銀行にOCR(Optical Character Reader)とRPA(Robotic Process Automation)を活用し、投資信託の口座開設業務を自動化するシステムを提供したと発表した。
ゆうちょ銀行では、日々、数百名分の投資信託口座の開設に対応しているという。投資信託口座の開設手続きでは、口座開設申込書と顧客の口座情報をひも付けるため、開設済の普通口座の情報やそこから把握できる顧客の個人情報を行員が目視で比較し、修正や再確認を行った後、投資信託システムに手入力している。
富士通とゆうちょ銀行では、大半が人手による作業で占める同業務にRPAを適用することで高い効果が見込めるとし、今回の業務自動化システムの開発、導入に至ったという。
同システムは、顧客から紙で届く口座開設申込書をOCRで読み取り、内容確認や口座開設作業をRPAで自動化する。
申込書の読み取りには、富士通グループのPFUのOCRソフトウェア「DynaEye(ダイナアイ)」を活用。申込書をスキャナーで読み取るだけで、印字された文字や行員が手書きした文字を含む書類を高精度に認識。文字のつぶれや未記入部分などがあればエラーを上げるため、行員は該当部分のみを確認して修正すればよく、作業の効率化を図ることができる。
顧客情報のデータ登録から完了通知までの一連の作業は、Kofax JapanのRPAパッケージ「Kapow(カパウ)」を活用して自動化した。
OCRで読み取った情報は、普通口座の顧客情報とともに登録処理し、内容を突き合わせて確認。その後、投資信託システムへの入力と、完了通知までを一貫してRPAで実施することで、正確性の向上と作業時間の大幅な短縮を実現できるとしている。
ゆうちょ銀行では、既に2018年9月より同システムを運用しており、これまでに投資信託の口座開設業務にかかっていた時間を3分の1に短縮できることを確認。行員の負荷軽減と業務効率化を実現したとしている。
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