企業はAI導入で競争力2.5倍を期待、MicrosoftがAIに関する調査結果を発表:AIに取り組み始めた企業は33%
MicrosoftのAIに関する調査によると、企業がAIを採用する理由の多くは競争力の強化や従業員の生産性を向上させるためだ。AIによって、自社の競争力が導入後3年間で2.5倍に向上することを期待していた。
日本マイクロソフトは2019年3月1日、MicrosoftがIDC Asia/Pacificと共同で実施したAI(人工知能)に関する調査「Future Ready Business:AI によるビジネスの可能性について」の結果を発表した。本調査によると、日本では、AIに取り組み始めた企業は33%程度で、2021年までにAIがイノベーションと従業員の生産性を2倍以上に向上させることを期待していると分かった。
企業がAIを採用する理由として多く挙げられた回答は「競争力の強化」「イノベーションの加速」「従業員の生産性向上」「顧客エンゲージメントの向上」「利益率の向上」だった。そしてAIを採用した企業は、自社の競争力が、導入時に11〜14%、導入後3年間で2.5倍に向上することを期待していた。
日本の組織が直面するAI導入の課題
一方、AIを導入するに当たっての課題としては「従業員のAIに関するスキルや人材育成プログラム」「AIを活用するための分析ツールやインフラ」「組織文化」が多く挙げられた。
この点に関して、IDC Japanでソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディングのグループディレクターを務める眞鍋敬氏は、「企業のリーダーは、AIを自社のコア戦略とし、組織文化を育成する必要がある。AIは短期間で効果が得られなくても、長期的視点から継続的に投資すべきだ。さらに、AI活用に向けた開発、展開、管理のための人材育成や、適切なガバナンスを備えた堅牢(けんろう)なデータインフラストラクチャの構築が喫緊に求められる」と述べている。
Microsoftでは、ビジネスリーダーはイノベーションと継続的学習が組織の中核となる新たな文化を取り入れていく必要があり、これによって俊敏性や適合性、成長への礎を築くことが可能になるとしている。
なお、今回の調査対象は、1605人のビジネスリーダーと1585人の従業員。そのうち日本では、150人のビジネスリーダーと152人の従業員が回答した。調査対象地域は、オーストラリア、中国、香港、インドネシア、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、タイ、ベトナム。調査対象業種は、農業、自動車、教育、金融、政府、ヘルスケア、製造、小売、サービス、通信/メディアだった。
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