AIは破壊的技術だと回答、ガートナーが世界89カ国3000人のCIOへアンケート:2018年はデジタルビジネスの転換期
ガートナー ジャパンは、世界89カ国の主要業種に属する3000人のCIO(最高情報責任者)に対するアンケート調査の結果を発表した。デジタル化への取り組みを拡大させた企業は全体の33%、AI(人工知能)技術を導入済みまたは計画中の企業は37%だった。
ガートナー ジャパンは2018年10月19日、2019年版「ガートナーCIOアジェンダサーベイ」の結果を発表した。これは、世界89カ国の主要業種に属する3000人のCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)に対するアンケート調査。
調査によると、デジタルビジネスは2018年に転換期を迎えたことが明らかになり、AI技術を導入済みまたは計画中と回答した企業は37%だったことが分かった。
「デジタル化への取り組みを拡大させた」と回答したCIOは全体の33%で、2017年の17%からほぼ倍増した。こうしたデジタルビジネスに向けた変革は、安定して増えているIT予算によって支えられているという。
2019年のIT予算の伸び率は、2018年の伸び率からほぼ横ばいの2.9%増になる見込み。地域別に見ると、伸び率が最も大きかったのはアジア太平洋地域で3.5%。欧州や中東、アフリカは3.3%、北米は2.4%、伸び率が最も小さい中南米は2%だと見込んだ。
最も破壊的な技術は「AI」
ガートナーは、新たに登場する破壊的な技術は組織の財務構造に変化をもたらし、ビジネスモデルの再構築にとって大きな役割を果たすと指摘する。
今回の調査では、「どの技術が最も破壊的になると思うか」との問いに対して、回答数が最も多かったのはAI(人工知能)だった。AIの躍進は顕著で、先進企業が破壊的な技術としてAIを挙げた割合は、2017調査年の7%から、2018年では40%に急上昇した。2017年にトップだったデータとアナリティクスは、第2位に後退した。
AIの導入状況を見ると、37%が「導入済み」または「近い将来の導入を計画中」と回答した。AIの導入率は、サイバーセキュリティ(88%)に次いで2位だった。
ガートナーのディスティングイッシュト バイス プレジデントを務め、アナリストでもあるAndy Rowsell-Jones氏は次のように述べている。
「数字だけを見れば、調査結果は革命的といえる。しかし、このようなAI導入率の上昇は、企業による合理性のない過剰反応を反映している可能性がある。AIは無視できない技術だが、CIOは冷静な判断力を失ってはならない。AIツール群は登場して間もないため、(ハイプサイクルの)幻滅期をまだ経ていないことに留意する必要がある」
調査で明らかになったもう一つの点は、サイバーセキュリティが変わらず重視されていることだ。
大半の企業では依然としてCIOがサイバーセキュリティの責任を担っているものの、ガートナーでは、もはやIT組織だけではサイバーセキュリティを支えきれないとしている。それは、フィッシングなどのソーシャルエンジニアリング攻撃が増加しているためで、同社は、現在では全ての従業員が行動様式を大幅に変えることが求められていると指摘する。
今回の調査によると、先進企業の24%では、サイバーセキュリティの説明責任を負っているのは単独のCIOではなく、取締役会だった。
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