地方公共団体向け「NEC 公共IaaS」の提供を発表、閉域環境をパブリッククラウドと連携可能:地方行政のクラウド化を推進
NECは、地方公共団体向けにクラウドサービス「NEC 公共IaaS」を提供する。地方公共団体の閉域ネットワーク環境を維持しながら、パブリッククラウドとのセキュアな連携が可能だという。
NECは2019年9月4日、地方公共団体向けにクラウドサービス「NEC 公共IaaS」の提供を2020年4月に開始すると発表した。地方行政のクラウド化推進や、ITインフラの運用負荷軽減を支援するとしている。
NEC 公共IaaSは、NECのクラウドサービスに新たに追加する地方公共団体向けのメニュー。地方公共団体でインターネットとは分離して運用している個人番号(マイナンバー)利用事務系や、LGWAN(統合行政ネットワーク)接続系といった閉域ネットワーク環境を維持しながら、パブリッククラウドとのセキュアな連携が可能だという。
使用技術、拠点設備、価格
同サービスを提供するシステムのハードウェアにはHewlett Packard Enterprise(HPE)のクラウドアプライアンスを利用し、その上で「Microsoft Azure Stack」を稼働させる。NECの顔認証AIエンジン「NeoFace」を採用した顔認証とパスワード入力の2要素認証によるログインや、大容量ストレージサービス、セキュリティ配信サービス、遠隔バックアップサービスといったNEC独自のサービスも提供する。
拠点であるNECのデータセンターは、JDCC(日本データセンター協会)が制定した基準で最高レベル「ティア4」の設備を備え、「ISO/IEC 27001」(情報セキュリティマネジメントシステム)や「ISO22301」(事業継続マネジメントシステム)などの国際規格に準拠する。
価格は、月額1万7300円(税別)から。初期設定費や拡張保守サービス、更新料などは別途必要。
地方公共団体のデジタル化とセキュリティ
なお日本政府は、2019年6月14日に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」で、「我が国社会全体を通じた、デジタル・ガバメント」を重点取り組みの一つとして掲げている。その中で、地方公共団体のデジタル化への取り組みとして、複数の地方公共団体による共同でのクラウド導入を推進し、2023年度末までに導入団体を約1100にすることを目標にしている。
一方、総務省が2018年9月に発表した「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」ではインターネットとの分離環境が求められており、閉域ネットワーク環境でありながらクラウドサービスを活用可能なITインフラが必要とされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「クラウド・バイ・デフォルト」をどう日本に根付かせるか、日本マイクロソフトが取り組みを説明
日本マイクロソフトは2018年10月4日、日本国内における政府・行政機関に向けた同社のクラウドサービス利用促進への取り組みについて説明した。 - NECが新宿区のシステムを刷新、SDNや自社クラウド活用でセキュリティと事業継続性を強化
NECは、東京都新宿区のプライベートクラウド基盤を、「NEC Cloud System」を活用して刷新した。仮想化技術とセキュリティ対策を連携させて、サーバラック数を約4割削減すると同時に、未知のサイバー攻撃への備えや、災害時の事業継続性を強化した。 - 公共機関におけるクラウド導入の光と影
Gartnerは、公共機関におけるパブリッククラウドサービスの利用規模は、2021年まで2桁のペースで拡大すると予測している。一方で、2021年までにプライベートクラウドの導入がパブリッククラウドの2倍のペースで進む見通しだ。これをどう考えるべきだろうか。