オンプレミスからクラウドまでのデータを保護 メインフレーム「IBM z15」を発表:システム外にコピーされたデータも対象
IBMのメインフレームの最新機種「IBM z15」は、企業のハイブリッドクラウド全体にわたって「全方位型暗号化技術」を拡張する。IBMが「あらゆる場所にあるデータを暗号化してデータのプライバシーを確保する」と説明する機能「Data Privacy Passports」を備えた。
IBMは2019年9月12日、メインフレームの最新機種「IBM z15」を発表した。システム内のデータを暗号化する「全方位型暗号化技術」に加えて、IBMが「あらゆる場所にあるデータを暗号化してデータのプライバシーを確保する」と説明する機能「Data Privacy Passports」を備えた。システム外にコピーされたデータも保護できるという。
最近では多くの企業がデータ漏えいに関して対策しているが、一般に、取引先など自社システム外にコピーしたデータにまでは対策が行き届かない。IBMによると、サードパーティーに起因するデータ漏えいを経験した企業の割合は60%に及ぶという。
Data Privacy Passportsによって暗号化技術を拡張
z15が備えるData Privacy Passportsは、企業のハイブリッドクラウド全体にわたって全方位型暗号化技術を拡張するもの。インフラレベルでオンプレミスのデータを保護するだけでなく、データレベルでクラウドにある個々のユーザーを管理するルールを適用できる。
Data Privacy Passportsを適用すると、データをコピーする際に暗号化して、信頼できるデータオブジェクト(Trusted Data Object:TDO)に変換する。そしてData Privacy Passportsは、TDOに対して必要な鍵を提供し、管理する。これによって、z15外にコピーされたデータに対してもポリシーによるデータプライバシーを適用可能にする。さらにIBMでは、ソリューションを実装する際の複雑な作業を削減し、システム間を移動するデータを簡潔に管理できるとしている。
なおIBMでは、企業はクラウドへの移行を20%完了しており、残っている80%はミッションクリティカルな業務だとしている。同社は、強固なセキュリティや俊敏性、常時稼働といった特徴を備えるz15によって、残り80%の業務をクラウドに移行可能にするとしている。
IBMで「IBM Z」のGeneral Managerを務めるRoss Mauri氏は「プライバシーとセキュリティは、従来のミッションクリティカルな業務の保護だけでなく、デジタル資産の保管やブロックチェーンなど新しい業務の保護にも不可欠だ」と述べている。
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