Red Hat、Kubernetesコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift 4.2」を発表:開発者向けの新しいビューなどを追加
Red Hatは、Kubernetesコンテナプラットフォームの最新版「Red Hat OpenShift 4.2」を発表した。開発者向けの新しいビューやコマンドラインインタフェース、CI/CDやサーバレス用プラグインなどの新機能が追加されている。
Red Hatは2019年10月16日(米国時間)、エンタープライズ対応のKubernetesコンテナプラットフォームの最新版「Red Hat OpenShift 4.2」を発表し、主な新機能を開発者向け公式ブログで紹介した。
アプリケーション開発にフォーカスした新しいユーザーインタフェースやツール、コンテナ構築、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプライン、サーバレスアーキテクチャ用のプラグインなどが含まれる。
OpenShiftは、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドのデプロイを管理するフルスタックの自動運用機能を備えている。Red Hatは、ハイブリッドクラウド全体にわたるエンタープライズグレードサービスの簡素化と自動化に力を入れている。OpenShift 4.2でも、この目標を目指しており、開発者がイノベーションを起こし、クラウドネイティブアプリケーションによってビジネス価値を高めることができるよう支援する。
どのような新機能があるのか
OpenShift 4.2の主な新機能は次の通り。
- アプリケーション開発に集中できる新しい開発者向けビュー 開発者が把握する必要がある情報と構成を重点的に提供する。アプリケーショントポロジーとアプリケーションビルドに向けてユーザーインタフェースを改良したことで、開発者はコンテナアプリケーションやクラスタリソースの構築、デプロイ、可視化をより容易に実行できる
- odoインタフェース 開発者向けに特化したコマンドラインインタフェース「odo」を追加した。OpenShiftでのアプリケーション開発が容易になる。「git push」スタイルの操作性を採っており、開発者がKubernetesオペレーションの詳細に立ち入ることなく、OpenShiftでアプリケーションを開発できるよう支援する
- 各種のRed Hat OpenShift Connector 「Microsoft Visual Studio Code」「JetBrains IDE」(IntelliJを含む)「Eclipse Desktop IDE」用のコネクターを用意したことで、既存の開発パイプラインへ容易にOpenShiftを統合できる。お気に入りのIDEから離れることなく、OpenShiftでアプリケーションを開発し、ビルド、デバッグ、デプロイへと進むことができる
- 「Microsoft Azure DevOps」用の「Red Hat OpenShift Deployment Extension」 Microsoft Azure DevOpsから直接「Azure Red Hat OpenShift」や他のOpenShiftクラスタにアプリケーションをデプロイできる
「Red Hat CodeReady Containers」を使うと、ローカルマシンで簡単にOpenShiftを試したり、OpenShiftで開発したりできる。PCで開発するために事前に構成されたOpenShiftクラスタを使うことで、パーソナルクラスタを簡単かつ迅速に利用開始できる。
サービスメッシュと協働
「OpenShift Service Mesh」は2019年8月にRed Hatがリリースした機能。OpenShift 4.2でも利用できる。
OpenShift Service Meshでは「Istio」に加えて「Kiali」「Jaeger」プロジェクトをベースにしており、「Operator」を介して提供される。コンテナのサイドカーとして実行することで、サービス群のトラフィックモニタリングやアクセス制御、検出、セキュリティ、復元、トレース、レポートといった機能を提供する。これらの機能は、既存サービスのコードに変更を加えることなく利用できる。
プレビュー:OpenShift ServerlessとOpenShift Pipelines
サーバレス 「OpenShift Serverless」では、サーバ運用数をゼロにまでスケーリング可能なアプリケーションをデプロイできる。OpenShift Serverlessは「Knative」プロジェクトをベースにしており、Knativeツールセットを提供する。これはOperatorで簡単にインストールできる。OpenShift 4クラスタごとにOperatorとして入手可能だ。
OpenShiftで提供される開発者向けビューとも結び付いており、「Gitからのインポート」や「イメージをデプロイ」といった一般的なワークフローに対応したオプションが用意されている。そのため、ユーザーはコンソールから、サーバレスアプリケーションを直接作成できる。
「Tekton」ベースのCI/CD OpenShiftでは、CI/CDのために「Jenkins」に代えて「OpenShift Pipelines」を利用できる。
OpenShift PipelinesはTektonプロジェクトをベースにしており、自動化のコンポーネントとしてOperatorを使用する。「GitOps」の考え方を採用しており、パイプライン全体をコードとして構成可能だ。
パイプラインの各ステップは独自のコンテナで実行されるため、ステップの実行時のみリソースを使用する。そのため、CI/CDサーバが不要であり、開発チームがパイプラインをコントロールできる。OpenShift Pipelinesは、「OpenShift Operator Hub」でOperatorとして入手できる。
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