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KubernetesベンダーとしてのVMwareは、少なくとも2つの顔を持っている複数クラウドをどう統合するか(1/2 ページ)

VMwareはKubernetes関連市場で、少なくとも「Kubernetesディストリビューションベンダー」「Kubernetesの統合運用管理サービスベンダー」の2つの顔を持つベンダーとしての活動を本格的に開始した。VMwareのサーバ仮想化基盤を使わないユーザー組織にとっての、KubernetesベンダーとしてのVMwareを探る。

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 VMwareが2020年3月中旬、Kubernetes関連製品群「VMware Tanzu」の正式リリースを発表した。これはVMwareのサーバ仮想化基盤を使わないユーザー組織にとって、何らかの意味がある動きなのだろうか。

 あるVMware関係者は、今回の発表におけるVMwareのKubernetesへの力の入れようを、次のように表現した。

 「(フラッグシップ製品である)『VMware vSphere』と『VMware Cloud Foundation』の新バージョンには重要な機能強化が多数組み込まれているのに、この2つの製品についてはプレスリリースの後半に、Kubernetesとの関連で触れただけだ」

 VMwareがvSphereとCloud Foundationを、仮想マシンとコンテナが混在する形で直接動作する基盤に変えることで、同社の顧客企業が「コンテナが主でサーバ仮想化が従」の世界に移行する可能性に備えようとしていることは間違いない。では、これは防御的な動きに過ぎないのだろうか。

クラウド事業者から独立した「マネージド体験」を目指す

 KubernetesベンダーとしてのVMwareは、少なくとも「Kubernetesディストリビューションベンダー」「Kubernetesの統合運用管理サービスベンダー」の2つの顔を持っている。

 Kubernetesディストリビューション製品については2020年3月、「Tanzu Kubernetes Grid」を発表した。同社にとってこれは最初のKubernetes製品ではない。

 VMwareは最近まで、「Cloud PKS」「Enterprise PKS」「Essential PKS」と3種類のKubernetes製品を展開していた。Cloud PKSはKubernetesのマネージドサービスだが、既に提供を終了しており、現在ではKubernetes管理サービスの「Tanzu Mission Control」に生かされているという。Enterprise PKSは、VMwareが買収したPivotal Softwareとの共同製品で、VMware NSXを組み込んでいる。この製品は継続提供されている。

 一方、Essential PKSは元々、VMwareが買収したHeptioのプロダクトで、VMwareの「VMware NSX」や「VMware vSAN」をサポートはするものの、これらからは独立している。例えばサービスメッシュでは現在、「Istio」と「VMware NSX Service Mesh」をサポート対象としている。加えてEssential PKSでは、Customer Reliability Engineering(CRE)チームによるサポートを特徴としてきた。

 Tanzu Kubernetes Gridは、基本的にはEssential PKSを引き継いだものだという(正確に言えば、Essential PKSはTanzu Kubernetes GridにCREサポートを組み合わせた上位版の「Tanzu Kubernetes Grid Plus」に移行した)。

 他のKubernetesディストリビューションと同様、Tanzu Kubernetes Gridは多様なサーバ仮想化基盤、クラウドIaaS(Infrastructure as a Service)、ベアメタルサーバ上で稼働することを目指している。

 実際、Essential PKS時代には、ベアメタルサーバ、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)、IBM Cloud、Alibaba Cloud、VMware Integrated OpenStack、vSphere、VMware Cloudの上での稼働をサポートしていた。

 一方、Tanzu Kubernetes Grid Plusのサポート要件では、インフラ基盤を現時点ではAWS、vSphere、VMware Cloud on AWSに限定しており、「他のプラットフォームは例外としてのみ(のサポート)」となっている。

 これはなぜか。「VMwareが当面狙いたい市場=現在のサポート対象」だということに加え、Tanzu Kubernetes Gridおよび管理サービスのTanzu Mission Controlにおける重要な要素として、Cluster APIを位置付けていることと関連しているようだ。将来は、マルチクラウドのKubernetes統合運用を目指すオープンソースプロジェクト、Gardenerにもつながってくる。

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