機械学習/AI製品で進む統合プラットフォーム化、DataRobotの場合:「DataRobot 6.0」を発表(1/2 ページ)
機械学習/AIの製品/サービスでは、統合プラットフォーム化が進んでいる。「AIの民主化」をうたい、データサイエンティストやデータエンジニアでない人でも機械学習/AIが活用できることを目指すDataRobotは、どのように統合を進めているのだろうか。
機械学習/AIの製品/サービスは、過去1年あまりにわたって統合プラットフォーム化が急速に進んできた。モデル構築プロセスを容易にするだけでは、ユーザー組織の機械学習/AI活用を支えるのに不十分だからだ。
モデルを構築した結果、望む精度が得られないという場合は、データ準備段階に戻ってデータを追加するなど、新たな教師データを作り、これを基に学習を実施する作業を繰り返す必要が出てくる。一方、構築したモデルをデプロイする作業が複雑だという点も、機械学習/AIの実運用に向けた課題となってきた。また、運用しているうちに精度が落ちれば、新たなデータを使ってモデルを再構築する必要もある。
こうした一連の反復作業を容易にし、効率化できないと、機械学習/AIのビジネス活用は進まないという認識が、機械学習/AIの製品/サービスにおける統合プラットフォーム化の背景にある。
機械学習自動化製品/サービスを提供してきたDataRobotも、例外ではない。同社は2019年に運用支援ツールの「DataRobot ML Ops」を発表していたが、2020年4月下旬に日本国内提供を開始した「DataRobot 6.0」に合わせてこれを強化した。また、2019年12月に買収したデータ準備ツールの「Paxata」を、自社製品としてリリースした。
「AIの民主化」をうたってきたDataRobotは、統合プラットフォーム化についても、非エンジニアが直接活用できるものを提供するという点で差別化を図っている。
本記事では、まずDataRobot 6.0において特徴的な新機能、「AIアプリケーション」および「Visual AI」を紹介し、これを踏まえて同製品の統合プラットフォーム化について触れる。
「AIアプリケーション」
DataRobotは統合プラットフォーム化で、ビジネスユーザーによる意思決定支援も含めようとしている。同社が新たに国内提供を開始した「AI アプリケーション」は、機械学習モデルを利用したアプリケーションの作成を自動化する機能。「アプリケーションギャラリー」で、利用したいアプリケーションを選択し、構築したモデルとひも付けるだけで、ビジネスユーザーがこれを即座に活用できるようになるという。
発表時点では次の3種のアプリケーションが用意されている。
- 「予測実行」(特徴量の値を入力することで予測を実行するアプリケーション)
- 「What-If」(入力値を変えて、予測結果を比較するアプリケーション)
- 「最適化」(予測値を最大化あるいは最小化する入力値の組み合わせを探索するプロセスを自動化するアプリケーション)
他には、マーケティングのROI(投資対効果)を最大化するチャンネルミックスを予測するアプリケーションが、β版として提供されている。
「Visual AI」
DataRobotの機械学習/AI自動化機能で、画像を扱えるようにしたのが「Visual AI」。分類と回帰分析に対応する。例えば画像を数値やテキストと組み合わせ、重回帰分析に活用できる。
数値やテキスト情報、画像へのリンクを記載したスプレッドシートを準備し、DataRobotのコンソールで画像と共にアップロードすると、その後はDataRobotに学習と適切なモデルの提示を任せられる。
DataRobot日本法人は、オンラインで行った製品発表で、不動産(戸建て)物件価格の予測というシナリオでVisual AIのデモを見せた。
デモでは、不動産データベースから各物件の価格、場所、説明、ベッドルーム数、バスルーム数などの情報を、物件画像と共にDataRobotコンソールへドラッグ&ドロップで一括アップロードし、価格予測モデルを自動的に構築した。各モデルについての情報を見ると、各項目がどれだけ予測に影響しているかがグラフで表示される。また、画像に関しては、1つ1つの画像のどの部分に注目して、モデルが構築されたかが示される。
Paxataの統合とML Opsの強化による統合プラットフォーム化
既述の通り、DataRobotは非エンジニアのための機械学習/AI統合プラットフォームへの取り組みを進めている。2020年4月の発表では、特にデータの前処理に関して大幅な進展があった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.