Office 365 ProPlusの名称変更とチャネル名変更、既存環境への影響は?:企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(76)
大企業向けのOfficeアプリといえば、サブスクリプション製品である「Office 365 ProPlus」ですが、最近、このアプリの名称と更新チャネルの名称が大きく変更されました。「Microsoft 365管理センター」での確認と、Officeアプリのポリシー管理用テンプレートや「Office展開ツール(ODT)」を使用している場合は、最新版の利用と現在利用中の設定への影響の調査、見直しをお勧めします。
Office 365 ProPlusがMicrosoft 365 Apps for Enterpriseに改称
Microsoftは「Office 365」ブランドで提供されてきた個人向け、一般企業向け、大企業向けのOfficeサブスクリプションの名称を、一部を除いて「Microsoft 365」に統一しました。「Office 365 E」など大企業向けサブスクリプションは今回の変更に含まれませんが、このサブスクリプションに含まれるOfficeアプリは「Microsoft 365 Apps for Enterprise」(大企業向けMicrosoft 365)に変更されています。この変更は、2020年4月末に「月次チャネル(Monthly Channel)」向けにリリースされた「バージョン2004」を皮切りに、順次他のチャネルにも適用されます。
- 中小規模企業向けの新しいMicrosoft 365プラン(Microsoft 365 Blog)
- Office 365 ProPlusの名前の変更(Microsoft Docs)
更新チャネル名称の変更と企業向けの新しい月次チャネル
Microsoftは2020年5月14日(米国時間)、Officeアプリの更新チャネルについても名称変更と新しいチャネルの追加を発表しました。
- Microsoft 365 Apps for enterprise の配信を刷新する新しいイノベーション(Windows Blog for Japan)
- Overview of update channels for Microsoft 365 Apps[英語](Microsoft Docs)
従来の「月次チャネル(Monthly Channel)」「半期チャネル(Semi-Annual Channel)」「半期チャネル(対象指定)」は、以下の表1に示すように大きく変更されます。
新名称(日本語/英語) | 以前の名称(日本語/英語) |
---|---|
Beta Channel | Insider、Insiderファースト/Insider Fast |
最新機能提供チャネル(プレビュー)/Current Channel(Preview) | 月次チャネル(対象指定)、Insiderスロー/Monthly Channel(Targeted)、Insider Slow |
最新機能提供チャネル/Current Channel | 月次チャネル/Monthly Channel |
月次エンタープライズチャネル/Monthly Enterprise Channel | なし |
半期エンタープライズチャネル/Semi-Annual Enterprise Channel | 半期チャネル/Semi-Annual Channel |
半期エンタープライズチャネル(プレビュー)/Semi-Annual Enterprise Channel(Preview) | 半期チャネル(対象指定)/Semi-Annual Channel(Targeted) |
表1 Officeアプリの更新チャネルの新しい名称 |
最新情報(2020年6月24日追記)
米国時間2020年6月11日リリースの管理テンプレート(バージョン5029.1000)で、「最新機能提供チャネル」は「最新チャネル」に、「BetaChannel」は「ベータチャネル」に修正されました。
各更新チャネルのサービス内容に変更はありませんが、「月次エンタープライズチャンネル(Monthly Enterprise Channel)」が新たに追加されました。新しい名称による更新プログラムの提供は、2020年5月12日(米国時間)リリースの「月次エンタープライズチャンネル(Monthly Enterprise Channel)」向けバージョン「2003」から順次行われます(画面1、画面2)。
画面1 Office 365 ProPlusの「月次チャネル」は、2020年4月末リリースの「バージョン2004」から「大企業向けMicrosoft 365」に、2020年6月初めリリースの「バージョン2005」から「最新チャネル」に名称変更
また、2020年6月9日(米国時間)以降、サブスクリプションの新しいテナントにおける既定の更新チャネルは「最新機能提供チャネル(Current Channel)」に変更されます。
なお、表1の日本語名称は2020年5月リリースの管理用テンプレートに基づいていますが、現状、管理テンプレートでは「チャネル」が「チャンネル」と表現されています。「チャネル」と「チャンネル」の表記の揺れは、しばらくはさまざまなところ(Officeアプリのバージョン情報など)で目にするかもしれません。
Officeアプリのバージョン情報や「Microsoft 365管理センター」(旧称、Office 365管理センター)では「最新機能提供チャネル」ではなく、「最新チャネル」と表記されています。 また、Officeアプリのバージョン情報では、「半期エンタープライズチャネル(プレビュー)」ではなく、「半期エンタープライズチャネル(プレビュー版)」と表記されています。
従来の更新チャネルから名称が変更されたものについては、そのサービス内容に基本的に変更はないようです。「最新機能提供チャネル(Current Channel)」(旧称、月次チャネル(Monthly Channel))と、今回新たに追加された「月次エンタープライズチャンネル(Monthly Enterprise Channel)」の違いについては明確に区別する必要があるでしょう。
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