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Windows 10 バージョン2004の隠れた新機能、クライアントOSでもシリアルコンソール(SAC)が利用可能に企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(77)

Windows Serverには「緊急管理サービス(EMS)」という帯域外(アウトオブバンド)管理機能が標準搭載されており、オプションで有効化できます。これまで、この機能はクライアントOSには提供されてきませんでしたが、Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)で新たにサポートされました。

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企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

緊急管理サービス(EMS)のSACコンソールとは?

 「Windows 10」の最新バージョン「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004、ビルド19041)」の注目の新機能として紹介されているものは、企業ユーザーにとってあまり重要ではないものに見えるかもしれません。しかし、以下のIT担当者向けの新機能の紹介ページにはない、今回紹介する隠れた新機能は、IT担当者にトラブルシューティングの新しい手段を提供します。

 「緊急管理サービス(Emergency Management Services、EMS)」は、シリアルポート経由でOS環境への直接的なアクセス機能を提供するもので、「Windows Server 2003」以降の全てのWindows Server(バージョンおよびエディション)で利用可能です。

 EMSを有効化すると、シリアルポートを介して別のマシンの端末ソフトウェア(PuTTYなど)から「Special Administration Console(SAC、半期チャネルのSACとは無関係)」と呼ばれるシリアルコンソールに接続し、ホストやネットワークの情報取得や再起動、メモリダンプの作成、コマンドプロンプトへの対話的な接続を行うことができます。これにより、ローカルコンソールが応答しない、OSが正常起動しないといった問題に対処できるようになります。

 Windows ServerのEMSおよびSACについては、以下の別連載の記事で紹介しています。以下の記事にあるように、シリアルポートが利用できる場合は、サーバと作業用のPCをクロス型のシリアルケーブルで直結します。Hyper-Vの仮想マシン環境であれば、仮想マシンの仮想的なCOMポート(COM1またはCOM2)を名前付きパイプに接続し、端末ソフトウェアを名前付きパイプに接続することでEMSのSACにアクセスすることができます。

 Azure仮想マシンは「シリアルコンソール」機能を備えており、Windows Serverを実行する仮想マシンについてはEMSのSAC(Azure MarketplaceのWindows ServerイメージはEMSが構成済み)や「Windowsブートマネージャー」(Windowsブートマネージャーへのアクセスには追加の構成が必要)にAzureポータルから対話的にアクセスできます(Linux仮想マシンについては、Linuxのローカルコンソールに対話的にログオンすることができます)。

Windows 10 バージョン2004のオプション機能「EMSとSACのツールセット」

 2020年4月にビルドが完成し、5月から一般提供が始まったWindows 10 May 2020 Update(バージョン2004、ビルド19041)には、オプション機能(オンデマンド機能)として「Windows 10用EMSとSACのツールセット」が新たに追加されました(画面1)。

画面1
画面1 Windows 10 バージョン2004で新たに追加されたオプション機能「Windows 10用EMSとSACのツールセット」

 このオプション機能はWindows Serverに搭載されているEMSを、Windows 10(Homeエディションを含む)でも利用可能にするものです。オプション機能を追加したら、「Windows Server 2008」以降と同様の方法でEMSの有効化および構成が可能です。サーバマシンとは異なり、最近のデスクトップPCやノートPCは物理的なシリアル(COM、RS232C)ポートを備えていませんが、USB経由でCOMポートを簡単に増設することもできますし、仮想マシン環境であれば仮想マシンのCOMポートを利用できます。

 具体的には、EMSを有効化するWindows 10でコマンドプロンプトを管理者として開き、以下のコマンドラインを実行して再起動します。

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