副業ってお金以外にメリットありますか?:おしえて、キラキラお兄さん(1/3 ページ)
会社員とフリーのエンジニアという二足のわらじを履きこなしている保坂駿さんは、学生時代から、空いた時間に自分がしたいこと、自分にできることを着実に積み重ねてきた。
本業でプロジェクトマネジメントに力を注ぎながら、副業でさまざまなスマホアプリを開発し、リフレッシュする――会社員とフリーのエンジニアという二足のわらじを履きこなす保坂駿さんだが、何か大きな転機があって一念発起、といった劇的なストーリーがあるわけではない。空いた時間に自分がしたいこと、自分にできることを着実に積み重ねてきた結果が、今の働き方につながっている。
小さなころから一貫して好きだった「もの作り」
この連載に登場するエンジニアの例に漏れず、保坂さんも「もの作り」に興味を抱く子供だった。LEGOブロックでいろんなものを組み立てて遊んだり、プラモデルを作ったり、はたまた、ケーキ店を営んでいた母親を手伝ってお菓子作りをしたり……デジタルでこそなかったが、根っこには常に「何かを作るのが好き」という思いがあった。
その保坂さんが初めてプログラミングに触れたのは、「数学がやりたい」と千葉県立柏の葉高校の情報理数科に進学してからだ。授業の一環としてもプログラミングを学んだが、熱を入れたのは、たまたまシステムエンジニアから転身してきた国語教師による、競技プログラミングの課外活動だった。限られた時間の中で、いかに早く問題を解くプログラムを書けるかを競うところに魅力を感じ、「最初は興味本位でしたが、だんだん参加する人が決まってきて、コンテストがあると同じメンバーで『今度もやるか』という感じで参加していました」と話す。
その後、「シミュレーションについて研究したい」と進学した明治大学理工学部でも、先輩メインのチームに加わり、競技プログラミングに取り組み始めた。だが、費やす時間にしても、他大学チームのアイデアを見ても、「ここまではできない」と限界を感じてしまったという。
そんなとき、たまたま所属していた学生団体の取材で出会ったのが、中学生、高校生向けのプログラミング教育サービス「Life is Tech」だった。取材に行っただけのはずが、「自分で教えてみた体験も踏まえて記事を書こう」とプログラミングを教えるようになり、いつの間にか、スマートフォン向けアプリの開発を自ら学びながら教えるようになった。その合間に知り合いのつてでスタートアップ企業を開発面で支援したり、なぜかシェアオフィスに泊まり込んだりと、幅広くさまざまな活動に携わっていった。
持て余した「夜」の時間で副業開始
保坂さんの転機となったのは、大学2年生で経験した徳島でのインターンだった。プログラミングだけでなく、「地域創生」というテーマにも興味を持っていたことから、サテライトオフィスの誘致などに携わる企業のインターンに参加した。最初は1週間のつもりだったが、もっとやりたい欲が湧いてきた。そこで大学を休学して徳島に移住し、1年間インターンをすることにした。
インターンでは、地場の特産品を売り出すためのECサイトの開発も行ったが、それ以外にも、サテライトオフィスの誘致などさまざまな活動をした。中でも印象的だったのは、徳島の学生向けのイベントとしてLife is Techのキャンプを実施したことだ。このキャンプは徳島県海陽町の事業の一つとしてその後も続き、夏の恒例のイベントとなっている。
このように徳島でのインターンの仕事は充実していたが、問題は、家に帰ってからだった。古民家に泊まれるのはいいが、地元に知り合いがいるわけでもなく、遊びに行く場所があるわけでもない。時間を持て余す。ならば、この時間を使って開発の仕事をしよう――それが保坂さんがフリーランスのエンジニアとして活動し始めるきっかけとなった。
この時期保坂さんは、インターンをしながらさまざまなハッカソンに参加するため、東京と徳島を行き来していたので、東京で仕事を探し、徳島でアプリ開発を行った。以前スタートアップの支援していたことから、そのつてで依頼が入ることもあったという。仕様が固まっていることもあって、主に引き受けたのは、iOSアプリのAndroidへの移植案件だった。
「ちょっとお小遣い稼ぎを、という感じで、最初は仕事がもらえるだけでありがたかったです。どうせ時間はあるし、まず実績を作ろうと思って、すごく安い単価、例えばアプリ1つで10万円くらいの価格で仕事を引き受けて、徳島に戻って暇な時間は、ずっと、一人で黙々とプログラミングをしていました」
実績としてプロファイルに案件を表示できることを条件に、さまざまな仕事を引き受けてきたところ、案の定、実績を積み重ねるうちに、向こうから話が来るようになってきた。学生生活を通して、「普通のアルバイトよりもずっといい感じ」に収入を得られるようになったという。
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