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化合物スクリーニングで期待された効果を示す化合物を特定するAIモデル 京都大学が開発「既存の治療薬よりも効果がある化合物が見つかった」

京都大学のiPS細胞研究所は、AIを活用した創薬に向けて熱拡散方程式を応用した新たなアルゴリズムを開発した。ALS患者のiPS細胞を使って化合物の学習やスクリーニングを実施したところ、既存薬よりも高い効果を示す化合物を同定できた。

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 京都大学のiPS細胞研究所は2020年11月12日、AI(人工知能)を活用した創薬に向けて新たなアルゴリズムを開発し、既存薬よりも高い効果を示す化合物を同定できたと発表した。

 開発したのは、化合物スクリーニングで期待された効果を示す化合物を予測する「熱拡散方程式」(HDE)モデル。このモデルは、熱が拡散していく様子を模して化合物の有効性の高さをスコア化することで、期待される効果を示した化合物を予測する。

 一般公開されている化合物スクリーニングのデータベース(PubChem)を使って、HDEモデルの予測精度を評価した。946セットのデータベースを評価したところ、803セットで0.7以上のAUC(機械学習の評価指標。1に近いほど判定能力が高い)を示したという。

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PubChemを用いたHDEモデルの精度評価

既存の治療薬よりも効果がある化合物を特定

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のiPS細胞から作製した約5万個の運動神経細胞を使って、細胞死を抑制する化合物のスクリーニングを実施した。細胞死抑制率60%をしきい値として、期待される効果を示す化合物を求めた。その結果をHDEモデルに学習させ、約200万個の化合物の有効性を予測したところ、5875個の化合物を抽出した。

 抽出したこれらの化合物について、約30株のALS患者のiPS細胞から作製した運動神経細胞で評価したところ、ALSの治療薬として認可されている「リルゾール」や「エダラボン」よりも細胞死抑制効果が強く、多くのALS患者運動神経細胞に効果を示す化合物を同定できた。これらの化合物は、未知の化合物の特徴を有しており、ALSに対する新たな薬剤開発のシーズとして利用されることになったとしている。

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ALS患者のiPS細胞を用いた化合物スクリーニング

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