新型コロナ患者の罹患状況や看護師の業務量をAIで予測 東京医科歯科大学と富士通が共同研究を開始:医療現場の業務量増減の可能性を検証
東京医科歯科大学と富士通は、新型コロナウイルス感染症に向けたAIの有効性を検証する。胸部X線写真から罹患状況を判定するAIや、診療情報に基づいて重症化を予測するAI、治療に伴う看護師の業務量を予測するAIの3種類を用いる。
東京医科歯科大学と富士通は2021年2月2日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に向けたAI(人工知能)の有効性を検証する共同研究を開始すると発表した。富士通は今回の共同研究を踏まえて、COVID-19の診療に関わる医療現場の負担を軽減するシステムを開発する。
医療現場の負担を軽減する「3つのAI」
共同研究で利用するAIは、胸部X線写真から「COVID-19肺炎の罹患(りかん)状況を判定するAI」、血液検査や病歴などの診療情報に基づいて「重症化を予測するAI」、重症化予測データを基にCOVID-19肺炎患者の治療に伴う「看護師の業務量を予測するAI」の3種類。
COVID-19肺炎の罹患状況を判定するAIは、匿名化したCOVID-19肺炎患者の胸部X線写真を学習させ、肺炎の有無や罹患部位を判定する。重症化を予測するAIは、COVID-19肺炎に関する論文を基に、重症化した患者の血液検査や病歴などの診療情報を学習させ、患者の肺炎の病状変化を予測する。看護業務量の予測AIは、患者の重篤度に合わせた病床の移動や患者への治療行為、医師のサポートなどといった看護師の業務を数値化し、学習させる。
共同研究では、COVID-19肺炎の罹患状況を判定するAIについて判定精度を検証する。看護業務量の予測AIと重症化予測AIについては、それぞれを連携させ、重症化が予測される入院患者数とその推移を予測し、看護師の業務量増減の可能性を検証する。
東京医科歯科大学は「医療現場の課題解決に今回の共同研究の結果が活用可能かどうかを評価し、医療体制の整備や維持に役立てることを目指す」としている。富士通は「今回の共同研究を踏まえて、医療現場を支援するヘルスケアソリューションを開発し、2022年3月末までのサービス提供を目指す」という。
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