Always On 可用性グループのクラスタを構成するメンバーとその状態を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(8)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループのクラスタを構成するメンバー一覧と状態の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループのクラスタを構成するメンバーとその状態を出力する「sys.dm_hadr_cluster_members」を解説します。対応バージョンはSQL Server 2012以降です。
概要
Always On 可用性グループやフェールオーバークラスタインスタンスを構築するためには、複数のコンピュータやディスクなどでクラスタを構成します。「sys.dm_hadr_cluster_members」は、クラスタを構成するメンバー一覧とその状態を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
member_name | nvarchar(128) | メンバー名です。コンピュータ名、ドライブ文字、ファイル共有パスのいずれかになります。 |
member_type | tinyint | メンバーの種類です。次のいずれかになります。 0 = WSFCノード 1 = ディスク監視 2 = ファイル共有監視 3 = クラウドミラーリング監視サーバ |
member_type_desc | nvarchar (50) | member_typeの説明です。次のいずれかになります。 CLUSTER_NODE DISK_WITNESS FILE_SHARE_WITNESS CLOUD_WITNESS |
member_state | tinyint | メンバーの状態です。次のいずれかになります。 0 = オフライン 1 = オンライン |
member_state_desc | nvarchar(60) | member_stateの説明です。次のいずれかになります。 UP DOWN |
number_of_quorum_votes | tinyint | このクォーラムメンバーが保有するクォーラムの投票数です。 |
動作例
今回の環境では、3つのノードでAlways On 可用性グループを構築しています。「SRV01\SQL01」と「SRV02\SQL02」は正常に起動していますが、「SRV03\SQL03」はノード自体を停止しています(図1)。
「sys.dm_hadr_cluster_members」を実行すると、3つのノードで構成されているため、3行出力されます。「SRV01」と「SRV02」は正常に起動しているので、「member_state_desc」列は「UP」ですが、ノード自体が停止している「SRV03」の「member_state_desc」列は「DOWN」と表示されます(図2)。
「SRV03\SQL03」のノードを起動して、ノードマジョリティーではなくディスクのみのクォーラムに変更すると、4行目にディスクの情報が出力され、「number_of_quorum_votes」列にはノードが「0」、ディスクが「1」と表示されます(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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