Gitに「なぜ変えたか?」は残らない 元GitHub CEOが「Entire CLI」を開発:トークンを無駄にしない
元GitHubのCEOが新会社Entireを設立した。AIエージェントと人間が協働する次世代開発プラットフォームの構築を目指すという。
元GitHub CEOのトーマス・ドームケ氏は2026年2月10日(米国時間)、新会社Entireの設立と6000万ドルのシード資金調達を発表した。同社は、AI(人工知能)エージェントと人間が協働するソフトウェア開発プラットフォームの構築を目指すという。
現在のソフトウェア開発ライフサイクルは人間同士の協働が前提
近年、Anthropicの「Claude Code」やOpenAIの「GPT-5.3-Codex」、Cursorの「Composer 1.5」など、エージェント型AIの進化により開発者の役割が大きく変化している。開発者は複数のターミナルウィンドウでエージェント群にプロンプトを送り、エージェントが並列でコードを生成・評価する時代になった。
しかし、現在のソフトウェア開発ライフサイクルはクラウド時代以前に構築された人間同士の協働を前提に設計されたものであり、「AIエージェント主体の開発」には対応し切れていないとドームケ氏は指摘する。
「AIエージェント主体の開発」に対応する「Entire CLI」
現在、AIエージェントのセッションは一時的なものだ。プロンプトはターミナル内にあり、推論はコンテキストウィンドウ内に保持されている。コードを生み出した意思決定、制約、試行錯誤は、セッションを閉じた瞬間に消えてしまう。
「Git」は「何が変わったか」は保存するが、「なぜ変わったか」は残さない。1回のセッションで数百〜数千行のコードを生成するエージェントでは、このコンテキスト(背景情報)の喪失が急速に積み重なる。共有されたコンテキストがなければ、エージェントは効果的に協働できない。同じ手順をたどり直し、推論を重複させ、トークンを無駄にし、数時間前や数日前に下された決定の流れを見失ってしまう。
オープンソースのCLI(コマンドラインインタフェース)「Entire CLI」は、この失われがちなコンテキストを持続的なものに変えるという。
Entire CLIは、AIエージェントのコンテキストをGitに記録する「Checkpoints」機能を提供する。これは、エージェントが生成したコードをコミットする際、セッション全体のトランスクリプト、プロンプト、変更ファイル、トークン使用量、ツール呼び出しなどをコミットにひも付けて自動的にキャプチャーする仕組みだ。Checkpointsにより、コードの変更だけでなく、その変更を生み出した推論過程まで追跡可能になる。
Entire CLIのプラットフォーム構成
Entire CLIのプラットフォームは、AIエージェント中心の開発を前提とした以下の3つの主要な要素で構成される。
- Git互換データベース
コード、意図、制約、推論を単一のバージョン管理システムで統合する - ユニバーサルなセマンティック推論レイヤー(コンテキストを共有しながら推論・協調できる共通基盤)
コンテキストグラフ(コンテキストを構造化した知識ネットワーク)を通じてマルチエージェントの連携を可能にする - AIネイティブなソフトウェア開発ライフサイクル
エージェントと人間の協働を前提にソフトウェア開発ライフサイクルを再構築する
Entire CLIは、現時点ではClaude CodeとGoogleの「Gemini CLI」に対応しており、OpenAIのCodex、「Cursor CLI」、オープンソースのAIコーディングエージェント「OpenCode」(2026年2月27日にサポート)、「GitHub Copilot CLI」(2026年3月12日にサポート)など他のエージェントへの対応も近日中に予定されている。Entire CLIは「GitHub」上でオープンソースプロジェクトとして公開されている。
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