Always On 可用性グループのレプリカのWSFCリソース情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(12)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループにおけるレプリカのWSFCリソース情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループにおけるレプリカのWSFCリソース情報を出力する「sys.dm_hadr_instance_node_map」について解説します。対応バージョンはSQL Server 2012以降です。
概要
Always On 可用性グループは、Windows Serverフェールオーバークラスタリング(WSFC)クラスタ上に構成します。1つのWSFCクラスタに複数の可用性グループを構成し、1つのSQL Serverインスタンスで、複数の可用性レプリカをホストすることが可能です。可用性レプリカには、スタンドアロンインスタンスだけでなく、フェールオーバークラスタリングインスタンスも含めることが可能です。
「sys.dm_hadr_instance_node_map」動的管理ビューを使用することで、WSFCクラスタ上に構成された可用性グループリソースと、可用性レプリカをホストするSQL Serverインスタンス、SQL ServerインスタンスをホストしているWSFCノードについて確認することが可能です。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
ag_resource_id | nvarchar (256) | WSFCクラスタでの可用性グループリソースID |
instance_name | nvarchar (256) | 可用性レプリカをホストするSQL Serverインスタンス名 |
node_name | nvarchar (256) | 可用性レプリカをホストしているWSFCクラスタノードの名前 |
動作例
スタンドアロンインスタンス1つと、フェールオーバークラスタリングインスタンス1つの可用性レプリカから構成されている可用性グループを構成します(図1)。
プライマリレプリカに接続し「sys.dm_hadr_instance_node_map」動的管理ビューを出力すると、それぞれの可用性レプリカインスタンスをホストしているWSFCノードを確認できます(図2)。
「ag_resource_id」列の値は可用性グループのWSFCリソースIDのため、「PowerShell」の「Get-ClusterResource」コマンドで確認できるクラスターリソースのIDと一致しています。
類似の情報を確認できる動的管理ビューに「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_nodes」があります。「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_nodes」動的管理ビューでは、可用性レプリカにフェールオーバークラスタリングインスタンスが含まれている場合、フェールオーバークラスタリングインスタンスを構成する複数のノードが表示されるという違いがあります(図4)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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