仕組みだけでは生産性は向上しない 船井総研コーポレートリレーションズが職場環境の変化に関する調査結果を発表:業務改善の障害は何?
船井総研コーポレートリレーションズは、働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルス感染症拡大以降に起きた職場環境の変化に関する調査結果を発表した。業務効率化のためにツールや制度を導入しても、多くがその効果を実感していないことが分かった。
船井総研コーポレートリレーションズは2021年7月15日、「事務職における働き方改革・業務改善に対する実態と意識調査」の結果を発表した。働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以降に起きた職場環境の変化に関して調査した。
調査対象は全国の20〜59歳までの事務系職種で働く男女で、553人から有効回答を得た。
「業務効率化の施策を導入しても効果を実感できない」が約7割
職場に導入された「業務効率化の施策」について聞いたところ、最も回答が多かったのは「在宅・リモート勤務」で43.4%(複数回答、以下同)だった。次いで、「オンライン会議の活用」が42.9%、「フレックス勤務」が26.0%だった。
一方で、施策の導入効果について聞くと最も多い回答は「変わらない」で67.1%だった。「大いに上がった」は4.3%、「上がった」は24.4%となっており、施策を導入しても生産性の向上を実感できていないことが分かった。
働き方改革や業務改善の障害になっているものは何か聞くと「一部の人のみしか把握していない業務がある」と回答した人の割合が最も高く、41.4%(複数回答、以下同)だった。次いで、「担当者によって業務の理解度にばらつきがある」が37.6%、「業務ルールがなくマニュアルもない」が24.6%、「習慣的に行う業務が多く、見直しがされていない」が21.5%、「各部署の担当範囲や責任が明確に定まっていない」が19.9%だった。
働き方改革や業務改善を加速させるのに必要だと思う環境を聞くと、「会社としての方針指示」を挙げた人の割合が最も高く、43.4%(複数回答)だった。次いで、「他部署・社員間の共有や連携体制」が36.2%、「システム・ツールの導入」が34.5%だった。
船井総研コーポレートリレーションズの柳楽仁史氏(代表取締役社長)は「働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールを導入しても『生産性は向上していない』と回答した人が7割を超えた。生産性を向上させるためにはツールや制度だけでなく、『働く人の意識の向上』が不可欠だ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「ワクチン普及後の出社割合は週5日」と予測する企業が約7割 IDCが働き方に関する日米の調査結果を発表
IDC Japanが実施した働き方の未来に関する企業ユーザー動向調査によると、新型コロナウイルス感染症のワクチンが普及した後は、従業員が週に5日間出社すると予測する企業の割合が日米ともに7割だった。 - 「コロナがなかったとしても人材不足に悩んでいる」 Ivantiがサイバー攻撃に関する実態調査
Ivantiはサイバー攻撃に関する実態調査の結果を発表した。従業員がテレワークで働くことにセキュリティ上の不安を感じている日本のIT担当者の割合は92%で、IT部門の人材不足に悩まされたことがある日本のIT担当者の割合は79%だった。 - 自由にしてほしいのは「場所よりも時間」、Slackがパンデミック後の従業員の意識変化を調査
Slackは、新型コロナウイルス感染症発生後の従業員の意識変化に関する調査レポート「Future Forum Pulse」を発表した。柔軟性は、ナレッジワーカーにとって不可欠なものになっただけでなく、仕事に対する総合的な満足度にも大きく影響することが分かった。