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「クラウドに戦略的投資をできるかどうか」が国内企業の課題 パロアルトネットワークスがクラウドの活用状況を調査「クラウドネイティブセキュリティジャパンサーベイ 2021年版」

パロアルトネットワークスは、「クラウドネイティブセキュリティジャパンサーベイ 2021年版」を発表した。それによると国内企業のクラウドに対する投資額は海外企業に比べて少ないことが分かった。

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 パロアルトネットワークスは2021年8月5日、「クラウドネイティブセキュリティジャパンサーベイ 2021年版」を発表した。これは、国内企業でクラウドに関わっている意思決定者と実務従事者の400人を対象に、クラウド活用状況について調査した結果をまとめたもの。

 それによると、国内企業のワークロード全体に占めるクラウド上での稼働割合は海外と同程度だったものの、クラウドに対する投資額は海外企業に比べて少ないことが分かった。

クラウドに対する投資はコストではない

 パブリッククラウド上で稼働するワークロードの平均は、海外企業の平均46%に対して国内企業は43%だった。パロアルトネットワークスは「多くの企業がクラウド移行によってビジネス上の利益を享受しており、引き続きクラウドへの移行は加速する。今後2年間で国内企業のパブリッククラウド上で稼働するワークロード割合は平均60%に上昇するだろう」と予測する。

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クラウドで稼働しているワークロードの割合(出典:パロアルトネットワークス

 クラウドに対する投資額について聞くと国内企業は海外企業に比べて少ないことが分かった。「投資額が50億円未満」の企業の割合は、海外の56%に対して国内は73%だった。年間売り上げが1000億円未満の国内企業に限ると「投資額が10億円未満」が74%を占める。

 「クラウドに対する投資を『戦略的投資』ではなく『コスト』と考えている企業が大半で、クラウドをビジネス上の戦略的リソースとして位置付けられるかが国内企業の課題だ」とパロアルトネットワークスは指摘する。

「複数のクラウドサービスを使う」が当たり前になりつつある

 複数のクラウドサービス事業者(CSP)を利用している国内企業の割合は59%で、平均して2つのCSPを利用していることが分かった。

 中でも「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」は利用率が63%と他のCSPと比べて圧倒的なシェアを誇っていた。パロアルトネットワークスは「国内でもマルチクラウドへの移行が進んでいる」と分析している。

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国内企業が利用しているクラウドサービス事業者

 利用するクラウドの形態は「仮想マシン」(VM)が海外企業で30%、国内企業は47%だった。PaaS(Platform as a Service)は海外企業の22%に対して国内企業は17%、コンテナは海外企業の24%に対して国内企業は15%だった。

 パロアルトネットワークスは「国内企業においてクラウドは、『従来データセンターで稼働させていたものの場所を変えただけ』という利用方法が多い。今後クラウドの活用が進めば多様なコンピューティングリソースが利用されるようになるだろう」としている。

クラウド活用における最大の課題は「包括的なセキュリティの確保」

 クラウドに移行した企業が抱える課題について聞いたところ、「包括的なセキュリティの確保」が最も多く、54%だった。次いで「技術的な複雑性」(29%)、「コンプライアンス」(27%)という課題が挙がった。パロアルトネットワークスによると、規模が大きい企業ほど「コンプライアンス」や「従来の管理プロセス」の存在を課題として挙げる割合が高く、規模が小さい企業では「人材不足」を課題として挙げる傾向が高かった。

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クラウド移行で直面した課題(出典:パロアルトネットワークス

 セキュリティに関する課題では「クラウドアプリケーションに存在する脆弱(ぜいじゃく)性の可視性の欠如」や「セキュリティ予算の確保」「反復的なセキュリティ対応の自動化」などが挙がった。

 クラウドセキュリティベンダーに求める要件では、「マルチクラウド・ハイブリッドクラウド対応」を挙げた割合が43%(複数回答、以下同)で最も高く、「プライベートクラウド・パブリッククラウド対応」(36%)がそれに続いた。

 パロアルトネットワークスは「マルチクラウド・ハイブリッドクラウドやコンピューティングリソースを問わずに一貫したセキュリティ対策を図るには、個別のセキュリティソリューションでは不十分だ。クラウド全体で可視化とセキュリティ確保を実現するクラウドネイティブセキュリティプラットフォームが不可欠だ」としている。

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