「マネジャーが『板挟み』の状態では従業員の期待に応えられない」 マイクロソフトがテレワークに関する調査結果を発表:57%が「職場での孤独感が強まった」
日本マイクロソフトは、リモートワークに関する年次調査結果「2022 Work Trend Index “大きな期待:ハイブリッドワークを成功させるには”」を発表した。日本において「ハイブリッドワーク移行前よりも職場での孤独感が強まった」と回答した割合は57%だった。
日本マイクロソフトは2022年3月18日、31カ国の3万1000人を対象にしたリモートワーク(テレワーク)に関する年次調査結果「2022 Work Trend Index “大きな期待:ハイブリッドワークを成功させるには”」を発表した。同社は対象者への調査の他に「Microsoft 365」の利用傾向やLinkedInの求人市場トレンドなども分析しており、「そこから5つの知見が得られた」という。
1.従業員は新しい「価値の方程式」を持つ
調査結果によると、「仕事よりも健康やウェルビーイングを優先する人」の割合が53%(日本では37%)を占めた。日本マイクロソフトは「仕事に対する人々の考えが変化しており、仕事のやり方や場所、時間、仕事をする理由が変わっている」と分析している。
2.マネジャーは板挟みになっていると感じている
今後1年以内に「テレワークまたはハイブリッドワークへの移行を検討している」という従業員の割合は52%(日本では31%)だった。一方、今後1年以内に「従業員にフルタイムでの対面勤務を求める予定だ」と回答した経営幹部の割合は50%(日本では42%)だった。
日本マイクロソフトによると、こうした経営幹部と従業員の考え方のずれはマネジャーも認識しているという。「経営幹部の行動が従業員の期待とずれていると感じている」と回答したマネジャーの割合は54%、「自分のチームに変化をもたらすために必要な影響力やリソースを持っていない」と感じているマネジャーは74%だった。
日本マイクロソフトは「従業員の新たな期待に応えるには従業員と最も近い距離にいるマネジャーの働きが重要だ。だが、マネジャーが板挟みになって行動できない状況では事態は改善されない」と指摘している。
3.通勤に見合う価値のあるオフィスを用意する必要がある
ハイブリッドワークを実施している従業員に働き方に関する課題を聞くと38%が「いつ、何のためにオフィスに出社すべきかを知ること」と回答した。それに対して「ハイブリッドワークのためにチームで新しいルールを設定した」という経営幹部の割合は28%だった。「会議に参加している感覚がない」という悩みを抱えているテレワーカーの割合は43%だったのに対し、「全員が参加意識を持てるようにハイブリッド会議のエチケットを作成した」と具体的な対策について答えた経営幹部は27%だった。日本マイクロソフトは「今こそオフィスの役割を見直し、誰がどこで何のために対面して集うのかを意識的に考えるべきときだ」としている。
4.柔軟な働き方は「常時オン」を意味しない
Microsoft 365の利用傾向を分析すると、2020年4月以降、会議やチャットが増加傾向にあり、従来の勤務時間(9〜17時)の枠を超えて頻繁に会議が実施されていることが分かったという。
「Microsoft Teams」ユーザーの1週間当たりの会議参加時間は2020年3月と比べて252%増加し、時間外の作業時間は28%、週末の作業時間は14%増えた。これに対し、日本マイクロソフトは「柔軟な働き方を持続させるためには、マネジャーは新しい規範を作り、24時間365日働き続けることがないよう、境界線を設定する必要がある」と指摘している。
5.ハイブリッドな世界では社会的資本の再構築は異なる様相になる
前回の調査(2021年 Work Trend Index)で「チームの縦割り化」が進んでいることが明らかになった。2022年の調査では、チームの絆を維持できていると回答したハイブリッドワーカーの割合は58%と、過半数がチームの絆を維持できていることが分かった。
ただ「直属のチームとの関係が良好だ」と答えたテレワーカーは半数にとどまり、「チーム外の人々との関係が良好だ」と回答した割合は42%にすぎなかった。日本でいえば57%のハイブリッドワーカーが「ハイブリッドワーク移行前よりも職場での孤独感が強まった」と回答した。
日本マイクロソフトは「人間関係構築の時間を優先し、取り残されるリスクの高いテレワーカーや入社したばかりの社員へのサポートを強化することが重要だ」としている。
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