「難しいロジックが、ふと解ける」感じをイノベーションに生かそうよ:仕事が「つまんない」ままでいいの?(91)(3/3 ページ)
クリエイティブ、イノベーション、トランスフォーメーション――最近よく耳にするこれらの言葉。でも、どうすれば創造性が生まれ、変革できるのでしょうか?
悩んで、悩んで、悩みぬいたら、新たなアイデアが浮かんだ
もう1つ、この話は、先の「アイデアが入り込む空間を作っておく」とは逆説的かもしれませんが、つい最近あった「なぜだか分からないけれど、いいアイデアを思い付いた」経験です。ちょうどいま進行中なので、できる範囲でお話しすると……。
実は私、2021年の夏の終わりから、仕事でツライ状況に置かれていたんです。目の前に解決すべき課題がある。でも、どうしたらそれを解決できるのかが分からなくて。
もちろん、頭の中で解決策をあれこれロジカルに考えることはできるのだけれど、全然しっくりこない。全てがうわっ面な感じがする。そもそも「やりたい!」という気持ちが湧いてこない。でもやらなくてはいけないから、取りあえず考えなければならない。動かなければならない……。
しかも責任ある立場だったために、途中で逃げるわけにはいかないし、投げ出すわけにもいかない。周囲の人たちも助けてくれない。ニッチもサッチもいかない状況がずっと続いていたんです。もうね、孤独でしたよ。本当にツラかったんです。
ただ、たとえ1人になっても、この問題は解決しないといけない……。そんな日々を繰り返していたら、先日、めちゃくちゃいいアイデアを思い付いたんです。話すだけでワクワクするアイデアを。感覚的には「思い付いた」というよりは、ほんと「ひらめいた」「降ってきた」という感じでした。言葉が次々と出てきました。
よく、スポーツ選手が「フローに入る」といいますが、ひょっとしたらそんな感じだったのかもしれません。
最近そのアイデアを身近な友人や知人に話し始めているのですが、「それ、めちゃくちゃいいですね!」と言ってもらえます。言えば言うほどそうなるので楽しくなってきてしまいました(笑)。
なぜ、このような「ひらめき」が起こったのかを考えるに、恐らく、頭の中で「ずっと問いが立っていた」んじゃないかと思います。「どうすればいいのだろう?」と悩み続けていた。問い続けていた。それに呼応するように、脳が反応してくれたんじゃないかな、と。
そういう意味では、創造的で、革新的なアイデアを思い付くためには、「課題から逃げない」「問いを立て続ける」ことも、大切なのかもしれませんね。
悩み続けている間は本当にツラかったけれど、いまは悩み続けてよかったなと思っています。ひらめきがどんな内容かは、いずれお話ししたいと思います。
ひらめきを得るためにも、悩み続けよう
創造性、革新性、変革についてお話ししてきました。
クリエイティブ、イノベーション、トランスフォーメーションといった言葉を見聞きする機会が増える中で、それらは大切だとは思うものの、「どうやって?」というのは、よく分からないものです。
それなのに、「これからは創造性だ!」「革新性だ!」「トランスフォーメーションだ!」といわれても、ちょっと困ってしまいます(笑)。
はやり言葉をただ唱えているだけよりも、エンジニアには、あの「ひらめく」体験がありますし、その快感を知っています。ぜひあの感覚を生かして、仕事に役立てて行きたいものです。それはきっと、あなたの未来を照らしてくれるものだとも思います。
そのためにも、毎日の仕事を一生懸命やりましょう。問いを立て続けましょう。悩み続けましょう。私も、悩み続けます。
筆者プロフィール
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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