「難しいロジックが、ふと解ける」感じをイノベーションに生かそうよ:仕事が「つまんない」ままでいいの?(91)(2/3 ページ)
クリエイティブ、イノベーション、トランスフォーメーション――最近よく耳にするこれらの言葉。でも、どうすれば創造性が生まれ、変革できるのでしょうか?
難しいロジックが、ふと解ける感じ
まだよく分からないかもしれません。でもプログラミングの経験がある人なら、「難しいロジックが、ふと解ける」あの感じを体感したことがあるのではないでしょうか?
プログラミングは「AはBである。故にCである」のような、「物事を論理的に組み立てるもの」というイメージが一般的かもしれません。「もし、○○ならば〜」のような条件による判断は、まさにそうですよね。
でも、プログラミング経験がある人ならきっと同意していただけると思いますが、プログラミングの楽しさは、論理的思考だけではなく、「あっ! そうだ!」という創造的な「ひらめき」です。
「これ、どうしたら実現できるんだろう?」と悩んでしまうぐらい構築が難しいシステム。整合性を取るのが難しいロジック。それを組み立てるために、ウンウン考える。でも、分からない……。しかし、ふとした拍子に「あっ! そうだ!」とひらめくあの快感。「オレって、天才じゃないか!」と、自分で自分を褒めたくなるような経験を、多くのエンジニアが持っているのではないでしょうか。
そう、あのひらめきの中に、創造性、革新性、変革の種があると思うのです。これは、思考とは違います。「あっ! そうだ!」という、言葉では説明しづらい感覚を知っているのは、エンジニアならではだと思います。
では、ひらめきをさまざまな領域に広げていくためには、どのようなエッセンスが必要なのでしょうか。
頭の中の「空間」にアイデアが入ってきた
過去を振り返ったとき、「なぜだか分からないけれど、いいアイデアを思い付いた」という経験が、私には何度かあります。
1つは、2012年に思い付いた「ビジネスマンのための、癒(いや)しのホテル」というアイデアです。当時書いた「もしも、『ビジネスマンのための、癒しのホテル』があったら・・・」というブログから引用します。
その施設は観光客のためではなく、ビジネスマンのためにあります。
宿泊施設はもちろん、カフェやセミナールームも併設されています。
カフェには、電源やネット環境、プリンタなど、仕事に必要な機材が整えられ、自由に仕事ができる環境があります。それはまるで、高原の中にあるコワーキングスペース。
そこにいるのは、都会で活躍しているビジネスマン。ちょっと仕事に疲れたので、休暇ついでにこの施設にやってきました。カフェでコーヒーを飲んでゆっくりくつろいだり、棚に置いてある小説を自由に読んだり。でも、ちょっとだけ仕事をしたり。他には、執筆業をされている方やIT関係のビジネスマンもいます。PCさえあれば仕事ができるので、Tシャツにジーンズ、サンダルというラフなスタイルで、文章を書いたり、プレゼン資料を作ったり、プログラミングをしたりしています。
仕事に疲れたら、外に出て緑の中を散策します。自然のエネルギーを感じながら歩いていると癒され、行き詰まっていた仕事に新しいインスピレーション、クリエイティブなアイデアが降りてきて、「よしっ、やるぞ!」という力が湧いてきます。
これは10年前に思い付いたアイデアです。いまでいうところのワーケーションですよね。なぜこのアイデアを思い付いたのか、正直よく分かっていません。でも当時「こういう施設があったら、絶対にいいよな」と思ったことを、いまでもはっきりと覚えています。
このアイデアを思い付いたときの情景を思い出すと……。
それは、8月の暑い日の午後でした。少し、仕事に行き詰まっていたので、自宅近くの景色がいい池のほとりを、缶コーヒーを飲みながらぶらぶら歩いていました。
そのときにふと、何か、頭をつつかれたような気がして、メモしたのが、先のブログに書いた内容です。感覚的には、「思い付いた」というよりも、頭の中にある空間にアイデアが「スッ」と入ってきた感じです。
そして文字に起こしてみたら、「あー、これいいな。実現したいな」と思えて、いままで少しずつ取り組んできました。
この経験からいえることは、毎日忙しく「ああすべき」「こうすべき」と頭をロジカルにあくせく働かせておくのもいいですが、時には「頭を休める時間を作る」「リラックスできるようにしておく」「アイデアが入り込む空間を作る」「余白を作る」……そんなことを意識的に行うのも、大切なのかもしれないということです。
あと、ふと思い浮かんだことは、すぐに流れてしまうので、メモしておくことも大事かなと思います。いまならスマホにメモしたり、声で残したりしておくのもいいですね。
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