2021年のDBMS市場――非リレーショナルDBMS専業ベンダーの5年間の動向とともに振り返る:Gartner Insights Pickup(268)(1/2 ページ)
2021年のデータベース管理システム(DBMS)市場は、全売上高(約800億ドル)の80.6%を上位5社が占めた。今回は、残りの20%弱(約160億ドル)のパイを取り合うベンダーのうち、非リレーショナルDBMS専業ベンダーについて見ていこう。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
2022年5月に公開した記事「2021年のDBMS市場の主要動向――クラウド化がキーワードに」で、Gartnerが集計した2021年のデータベース管理システム(DBMS)の世界売上高が、前年比22.3%増と大きく伸びたことを指摘した。DBMS市場は、以前から一握りのベンダーが大部分のシェアを握っており、2021年は上位5社が全売上高の80.6%を占めた。それでも、約800億ドル市場の残りの20%弱は、決して小さくない。そこで今回は、この約160億ドルのパイを取り合うベンダーのうち、主に非リレーショナルDBMS専業ベンダーについて見ていく。
「非リレーショナル」は「NoSQL」とも呼ばれるが、Gartnerはこの用語を使っていない。これらのベンダーは皆、SQL APIやSQLライクなAPIがバイヤーの求める機能であることをすぐに理解し、これらも提供するようになったからだ。リレーショナルDBMS(RDBMS)が支配する市場において、非リレーショナルDBMS専業ベンダーは一定の成功を収め、大々的なマーケティングを展開してきた。さまざまなアーキテクチャと、それらに最適なユースケースに焦点を当てることで市場を拡大している。
2021年には非リレーショナルDBMS専業8社の売上高が、Gartnerの公開調査レポートで名指しで取り上げる規模に達した(他のベンダーは「その他」としてくくられている)。その内訳は、Aerospike、Couchbase、DataStax、InterSystems、MarkLogic、MongoDB、Neo4j、Redis(旧Redis Labs)だ。
8社はいずれも、多かれ少なかれマルチモデルDBMSをうたっているが、概してドキュメントやグラフ、ワイドカラム、キーバリューといった1つのモデルを主に採用し、他のモデルのサポートを追加している。また、一部のベンダーは「NoSQL」が注目される前から、非リレーショナルDBMSを手掛けていた。MarkLogicはXML DBMSベンダーとして、InterSystemsは基本的にオブジェクトDBMSベンダーとして創業した。ほとんどが2017年以前から事業を行っているが、InterSystemsだけが2016年までに売上高が1億ドルを超えていた。この5年間の非リレーショナルDBMS専業ベンダーの実績をグラフで見てみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.