どうする? 企業内PCの4割超が「Windows 11」にアップグレード不可という現実:CPU、メモリ、TPMの要件を満たせず
6万の組織で使われている推計3000万台のWindowsデバイスを対象としたLansweeperの調査結果によると、Windows 11に自動アップグレードできないワークステーションが全体の42%以上を占めている。
IT資産管理プラットフォームを手掛けるLansweeperは2022年10月5日(米国時間)、約6万の組織で使われている推計3000万台のWindowsデバイスを対象とした調査結果として、「Windows 11」に自動アップグレードできないワークステーションが全体の42%以上を占めることを明らかにした。
Microsoftは、CPUにかかわらず、誰でもWindows 11を手動でインストールできるように方針を変更した。しかし、同OSへの自動アップグレードは、PCを構成する3つのコンポーネント(CPU、メモリ、TPM《Trusted Platform Module》)がアップグレードに必要な要件を満たしている場合にのみ可能だ。この要件を満たしていない場合、Windows 11の将来のアップデートは保証されない。
Lansweeperによると、調査したワークステーションのうち、Windows 11へのアップグレードにおいてCPU要件を満たすものは57.26%にとどまり、42.74%は要件を満たしていない。メモリ要件は大多数(92.85%)が満たしている。TPM要件は64.57%が満たしているものの、14.66%が満たしておらず、20.77%はTPM要件を満たしていないか、またはTPMが有効化されていなかった。
仮想マシン(VM)ワークステーションにおいては、CPU要件を満たすものは55.7%、メモリ要件を満たすものは67.1%にとどまり、TPM 2.0が有効化されているものは1.33%にすぎない。
Lansweeperは、TPMの要件を満たすVMワークステーションが少ないことに、それほど驚きはないとしている。TPMはこれまでWindowsに必須ではなかった他、TPMパススルー(vTPM)は、VMでTPMを使用可能にするため存在するものの、めったに使われないからだ。
なお、サーバについて見ると、TPM要件を満たす物理サーバの割合は2.35%で、この要件を満たす仮想サーバの割合はほとんどなかった。
Lansweeperが実施した2021年の調査結果と比較すると、CPUとTPMの要件を満たすデバイスの割合は、約12ポイント上昇し、メモリ要件を満たすデバイスの割合は、1.8ポイント上昇した。このままいけば、理論上は、2026年までに全てのデバイスが、Windows 11のこれらのシステム要件を満たすようになる。ただし、これでは「Windows 10」のサポート終了日(2025年10月14日)には間に合わないと、Lansweeperは指摘している。
Windows 11の普及率は
Lansweeperは、約2700万台のWindowsデバイスを対象に、Windows 11の普及率を調査した結果も明らかにした。
それによると、Windows 11に移行済みのデバイスは2.61%にとどまり、2022年4月と比べて1.17ポイント増となった。今のところ、Windows 10(81.87%)が依然として圧倒的な人気を誇っている。
だが、Lansweeperはより興味深い事実として、Windows 11の普及率が「Windows XP」(1.27%)を抜いたものの、既にサポートが終了している「Windows 7」(3.38%)を下回っていることを挙げている。
またLansweeperは、約1000万台のWindowsデバイスを対象に、Windows 11正式リリース以降の普及率の推移を、消費者向けデバイスとビジネス向けデバイスのそれぞれについて調査した結果も示している。消費者向けデバイスにおける普及率は3%超、ビジネス向けデバイスにおける普及率は2%弱となっている。
Lansweeperは、何千台ものWindowsマシンを所有する企業にとって、Windows 11へのアップグレード準備は、自動化なしでは膨大な作業になり、事前に最新のIT資産管理をしなければ、さらに厄介な事態になると指摘している。「手動の紙ベースのプロセスでは、全てのデバイスを見つけることはできないだろう。多くの企業では、使われていないものの、ネットワークに接続されているIT資産を放置しているためだ。そうしたマシンは手作業で把握できず、把握していないものをアップデートできない」と、Lansweeperは述べている。
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