DatadogがAWS向け「クラウドコストマネジメント」を提供開始 支出の変化や原因を指標化可能に:新ベンダー/新製品じろじろウオッチ(1)
日本のユーザーにとって初めて触れることになる(と思われる)新ベンダーや新製品を紹介する本連載。第1回はクラウドコンピューティング向けの監視サービスを提供するDatadogが提供を開始した、クラウドの使用料と監視データを関連付けできる新製品「クラウドコストマネジメント」について紹介する。
クラウドアプリケーション向け監視およびセキュリティプラットフォームを提供するDatadogは2022年11月1日、クラウドの使用料と監視データと関連付けられる新製品「クラウドコストマネジメント」の一般提供開始を発表した。使用料をアプリケーションやチームごとに自動的に振り分けて、コストの要因や変化を確認可能にする。利用者は、詳細なコストをアプリケーションのパフォーマンス指標に加えることができる。
クラウドサービスの複雑な料金の変化を捉え、コスト管理に役立てる
多くのパブリッククラウドサービスは従量制で、多数のサービスメニューや、利用計画に応じた割引プランもあるなど、料金体系は複雑だ。しかも、複数のアカウントで多くのアプリケーションを運用している場合、アプリケーションやチームごとに使用しているリソースを明確に関連付けることは困難なため、コスト管理が課題となっていた。
Datadogのクラウドコストマネジメントは、監視データとクラウドの使用量を統合して、開発、運用、財務などの担当が、クラウドの支出の変化や要因などの詳細なレポートを確認可能とする。Datadogプラットフォームに組み込まれているため、既存のワークフローを実行しながら、コスト意識を高めることができる。
AWS向けのクラウドコストマネジメントを提供開始
今回提供が開始されたクラウドコストマネジメントはAmazon Web Services(AWS)向け。インスタンスにおけるCPUやメモリの使用量、「Amazon S3」バケットの読み込みと書き込みの回数、サイズ、コストなどの観測データを使用して、コストの変化を自動的に明示することで、その原因を把握、対策できるようになる。
コスト変化の観測には、すぐに使えるリソースタグやユーザー定義のタグを使用。アプリケーションやサービス、チームなどのコストに割り当てる。ダッシュボードは、クエリを使用してリソースレベルのコストをドリルダウンできるなど、用途に応じて柔軟な使い方が可能となっており、アプリケーションのパフォーマンスに加え、コストも含めた健全性を確認、管理できる。
すでにクラウドコストマネジメントを利用しているStitch Fix(衣料品のパーソナルスタイリングサービス企業)のプリンシパルエンジニアであるマーティン・アンプ(Martin Amps)氏は、次のように評価している。
「ベストプラクティスは重要ですが、実際の測定とコスト最適化に代わるものではありません。Datadogクラウドコストマネジメントのおかげで、数十ものアカウントに対してきめ細かく支出を仕分けでき、大幅なコスト削減を達成できました。また、エンジニアリングチームは使い慣れた環境でコストデータを運用指標に関連付け、サービス全体の健全性の一部としてコストを監視できるようになりました」(アンプ氏)
Datadogの製品担当バイスプレジデントであるイリエ・ガルニエ(Yrieix Garnier)氏は「クラウドへの移行が加速するにつれて、企業がクラウドへの支出を適正化する必要性も高まっています。Datadogクラウドコストマネジメントは、企業全体のコストの可視性を向上させ、エンジニアリング、FinOps、財務の各チームが連携してクラウド利用についてより良いビジネス上の意思決定をできるようにすることで、企業のコスト適正化を支援します」とコメントしている。
なお、Datadogのクラウドコストマネジメントは、2023年初頭にはAWS以外のパブリッククラウドにも対応するとしている。
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