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企業はなぜオープンソース技術を使い続ける? Linux Foundationが企業調査「OSSを利用することで企業がその恩恵を享受している」

Linux Foundationが発表した調査によると、企業はOSSの最大のメリットをコスト削減、開発の迅速化、オープンスタンダード、相互運用性と認識しているという。

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 Linux Foundation は2023年3月2日、オープンソースソフトウェア(OSS)の経済価値に関するレポートを発表した。企業はコスト削減、開発の迅速化、オープンスタンダード、相互運用性を、OSSの最大のメリットとして挙げているという。

 調査対象となった企業のおよそ3分の2は、オープンソースで得られるメリットがコストを明らかに上回ると回答した。また、回答者の約半数は、OSSの費用対効果が年々高まっているとしており、低下したと感じているのは16%しかいないことが分かった。

 Linux Foundationのエグゼクティブ・ディレクターを務めるジム・ゼムリン氏は、「この調査は、OSSが企業にとって多大な経済的価値を持つこと、そしてほとんどの組織では、OSSを長く多く使うほど、その価値が高まることを明確に示している」と語る。「影響の定量化を支援することで、企業が自らの利益、コスト、そして世界のインフラの基礎となりイノベーションの原動力となるOSSをサポートし貢献することの価値を理解できるようにする」(ゼムリン氏)

 調査対象となった企業の多くは、20年以上前からオープンソースソフトウェアに取り組んでおり、過去5年間に開始した企業も相当数存在する。企業は、OSSを長く使用すればするほど、より多くの価値を得られるだけでなく、オープンソースイニシアチブに積極的に貢献することによっても、より多くの価値を得られることが、調査の結果判明した。

 Linux Foundationの調査部門であるLFリサーチと共同で調査、分析を実施した、イタリア・ローマのルイス大学およびカリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクール教授のヘンリー・チェスブロウ氏は、「よりオープンであることは有益である」と述べている。「ソフトウェアは、その重要性が着実に高まっている技術であり、OSSという基盤技術を採用することで、企業がその恩恵を享受しているのを目の当たりにしている。OSSを採用することで、企業はより活気に満ちた、驚きと興奮に満ちた未来を手に入れることができる」(チェスブロウ氏)

 Linuxを含むオープンソース技術は、無料で使用できるため、経済的な価値付けは困難だ。今回の調査では、430社以上の企業がOSSを使用していることが明らかになった。このうち43%は年間売上高が10億ドルを超えており、Fortune 500社の多くを占めている。その他の主な調査結果は以下の通り。

  • 回答者のほとんどが、OSSを使用するよりも、自社でソフトウェアを開発する方がはるかにコストがかかったと回答した
  • 回答者の約21%が、OSSを使用または貢献することで得られる利益は、コストよりも速く上昇すると答え、さらに21%が、利益はコストよりもやや速く上昇し、7%が、利益はコストよりもはるかに速く上昇すると答えた
  • OSSを使用することで発生すると思われる最大のコストは、セキュリティ対策、サポート、ライセンス管理に関連するものだった。回答者の5分の1は、これらのコストがメリットを上回ると答えている

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