システム運用は「全自動化」への過渡期 「設計」ができる人材が不可欠だ:@IT運用管理セミナーレポート
2023年1月に開催された@IT主催オンラインイベント「『予算や人が足りない』からこそ『データ』に頼れ デジタルシフト時代、エンドユーザーの期待に応える運用変革」において、千葉工業大学教授の角田仁氏が基調講演「オペレーションからエンジニアリングへ〜運用管理の誤解を解き、仕組みと人材を革新して『過渡期の時代』を乗り切ろう〜」と題して講演した。その様子をレポートする。
クラウド導入は、コスト・人員削減に直結しない
@IT主催オンラインイベント「『予算や人が足りない』からこそ『データ』に頼れ デジタルシフト時代、エンドユーザーの期待に応える運用変革」で、千葉工業大学教授 デジタル人材育成学会会長の角田仁氏が登壇し、企業のシステム運用の潮流と人材育成について講演した。
角田氏は1989年に東京海上日動火災保険に入社。本店・IT企画部にて長年にわたりIT戦略の企画に携わり、運用部門にも所属、2015年に東京海上日動システムズの運用、セキュリティの総責任者を務めた。現在は千葉工業大学社会システム科学部の教授を務めている。
最初に角田氏は、昨今のシステム運用の仕組み、フレームワークについて説明した。
運用を取り巻く環境は厳しさを増している。システムの大規模化、複雑化、クラウド・アウトソースの委託件数の増加、オフショア、ニアショア、コロナ禍によるリモート環境の広がりをはじめ、デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)による新たな技術への対応、運用部門の質と量の人材不足、そして経営者からのコスト削減指示などさまざまな課題に直面している。
「数え上げればきりがないぐらいのネガティブなワードが挙げられる。それがひいてはQCD(品質、コスト、納期)の低下を招き、システム障害の増大と影響度の拡大につながっている」(角田氏)
特に、クラウド・アウトソース委託件数の増加と、運用部門の人材不足が大きな問題だと、角田氏は話す。
まずクラウドだが、角田氏は「クラウドはシステム運用に最も大きなインパクトを与えているが、現時点では功罪がある」と言う。
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