生成AIに課金している約1000人が感じている課題 「ハルシネーション」を抑えた第1位は?:Helpfeelが生成AI導入に関する調査結果を発表
Helpfeelは、企業の生成AI導入のに関する実態調査の結果を発表した。それによると、生成AI導入後の満足度は高いものの、課題を感じている企業が多いことが分かった。
Helpfeelは2024年11月29日、企業の生成AI(人工知能)導入に関する実態調査の結果を発表した。有料の生成AIサービスを導入している企業のツール導入立案者または運用担当者を対象に実施し、1007人から有効回答を得た。それによると、生成AI導入後の満足度は高いものの、課題を感じている企業も多いことが分かった。
約20%が「生成AIには課題がかなりある」と回答
調査結果によると、社内に生成AIを導入した理由として最も多かったのは「リサーチや分析のため」で33.4%(複数回答、以下同)。次いで「顧客対応の自動化のため」(32.5%)、「メールや企画書などの文書作成のため」(29.6%)などが挙がった。生成AIを導入した効果への満足度は高く、「とても満足している」が30.4%、「やや満足している」が58.0%だった。
一方で、課題を感じている人もいる。導入した生成AIに対して「かなり課題を感じた」と回答した人の割合は19.5%、「やや課題を感じた」は58.1%だった。生成AIの導入理由別に課題を感じた人の割合を見ると、「リサーチや分析」「顧客対応の自動化」「メールや企画書などの文書作成」を目的に生成AIを導入した場合は「課題を感じた」と回答した割合が高かったのに対して、目的が「情報収集」の場合、「課題を感じなかった」という割合が高かった。Helpfeelは「導入の目的がシンプルなら課題を感じにくく、精度や質が求められる目的の場合は課題を感じやすい」と分析している。
課題の具体的な内容について聞くと「データプライバシーの懸念」(37.0%)、「情報漏えいやセキュリティ面の懸念」(36.8%)、「ハルシネーションの発生」(30.8%)が上位を占めた。
生成AIの利用に関するルールの整備状況については、想定している課題ごとに違いが見られた。例えば「すでにルールを整備している」と回答した割合は、データプライバシーの懸念を課題と考えている企業が30.1%、情報漏えいやセキュリティ面の懸念を課題と考えている企業は29.9%、ハルシネーションの発生を課題と考えている企業は45.2%だった。
この結果からHelpfeelは「データプライバシーや情報漏えい、セキュリティ面が課題の場合は、社内ルールの整備によって課題を解決できる可能性があるものの、ハルシネーションの発生についてはルール整備だけでは不十分で、対策を検討する必要がありそうだ」と分析している。
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