調査開始から6年、「日本のDX」はどこまで進んだ? 電通デジタル:DX成果創出と持続的成長を実現する「8つの要因」とは
電通デジタルは「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2022年度)」の結果を発表した。DXのフェーズは、組織/企業文化/人材といった基盤領域も含めた全社変革期に移りつつあることが分かった。
電通デジタルは2023年4月5日、「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2022年度)」の結果を発表した。同調査は2017年以降、今回で6回目。調査結果によると「DX」(デジタルトランスフォーメーション)に着手している企業の割合は84%で、前年(2021年)度から3ポイント増加していた。
電通デジタルは「日本におけるDXは、組織、企業文化、人材といった基盤領域も含めた『全社変革期』に移りつつある」と分析している。
「ミッション/パーパス」とDX成果の深い関係
DXを推進する上で解決すべき課題は多いが、調査結果によるとそういった「障壁」は全体的に減少傾向にあるようだ。最も多かったのは「投資コスト」で、23.2%だった。これは2019年度の調査に比べて8.9ポイント減っている。次いで「デジタルやITに関するスキルや人材の不足」は22.7%(2019年度調査比7.8ポイント減)、「企業文化」は16.7%(2019年度調査比3.2ポイント減)だった。
DXの成果が出ている企業の割合は、2021年度調査比で5.5ポイント増の75.4%。成果創出領域は、「業務プロセス/業務システムの改善」(2020年度調査比7.0ポイント増の67.4%)といった従来の改善領域に加え、「組織、企業文化、人材」といった基盤領域の伸びが高い。「部門間連携の強化」は2020年度調査比6.7ポイント増の60.7%。「デジタル戦略に即した組織開発・再編成」は2020年度調査比5.4ポイント増の60.1%。「イノベーション文化の醸成や推進」は2020年度調査比5.3ポイント増の57.2%。「デジタルスキルを向上させるための人材開発、教育、採用」は2020年度調査比4.5ポイント増の59.1%だった。
「ミッション/パーパス」(企業の目的、存在意義)とDX成果の関係を見ると、ミッション/パーパスを具体化している企業ほどDXの成果が出ていることが分かった。「ミッション/パーパスが戦略や思想にとどまらずアクションプランにまで落とし込まれている」と回答した企業では、「成果あり」と回答した企業の割合が「成果なし」よりも64.6ポイント高かった。同様に、「ミッション」や「パーパス」を踏まえて人材などのリソース要件が定義されている企業では、「成果あり」の方が64.3ポイント高かった。
電通デジタルは、この調査結果と、DXの成果が出ている企業へのインタビューを踏まえて「DX成果創出と持続的成長に欠かせない8つの重要成功要因」を挙げた。
- ミッションやパーパスなどの経営ビジョンに基づき社員が行動する
- 組織や人事を変革し、DX専門組織を起点に社内の部門間連携を円滑にする
- DXによるビジネスインパクトは中長期視点で管理する
- 顧客と従業員の満足度を同等に重要視する
- 社会課題解決は自社の重要課題と位置付け、事業として取り組む
- 顧客資産を重要視し、顧客体験価値を高め続ける取り組みを実施する
- データの活用サイクルを確立し、データ活用人材を積極的に育成強化する
- 社内外を問わず、人材交流や協働、共創を活発にする
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