Kotlinチーム、プログラミング言語「Kotlin 1.8.20」を公開 WebAssemblyバイナリを生成する「Kotlin/Wasm」のα版が利用可能に:実験的機能を正式公開、ビルド速度向上など
Kotlinチームは、プログラミング言語「Kotlin」の最新版となるバージョン1.8.20を公開した。
Kotlinチームは2023年4月3日(米国時間)、プログラミング言語「Kotlin」の最新版となるバージョン1.8.20を公開した。
Kotlin 1.8.20では、言語、標準ライブラリ、コンパイラの機能が追加、改善された。パフォーマンス向上、ドキュメントの拡充も実施されている。
Kotlin 1.8.20の主な変更点
「Kotlin K2」のα版を提供開始
次世代コンパイラとして開発が進められている「Kotlin K2」コンパイラのα版が同梱され、テストできるようになった。Kotlin K2コンパイラを有効化するには、新しい言語バージョンをオプションとして指定するか、build.gradle(.kts)ファイルで指定する必要がある。
-language-version 2.0
kotlin { sourceSets.all { languageSettings { languageVersion = "2.0" } } }
「Kotlin/Wasm」(Kotlin WebAssembly)を実験的機能として提供開始
WebAssemblyは、Web(およびWeb以外の)プラットフォームを対象とした、サイズとロード時間の両面での効率性を高めるバイナリフォーマットだ。Kotlinチームは、Kotlinで記述されたコードをWebAssemblyバイナリとしてコンパイルできる「Kotlin/Wasm」を実験的機能として追加した。これにより、Kotlinを利用してパフォーマンスに優れるWebアプリケーションやサーバレス機能を開発するなど、Kotlinの活用対象が広がるとしている。
一方、Kotlinでは、LLVMを活用してさまざまなプラットフォームで利用できるバイナリに変換する「Kotlin/Native」も提供している。Kotlinチームは、Kotlin/Wasmの利点として、LLVMを利用する必要がなくなるため、Kotlin/Nativeよりもコンパイル速度が速く、JavaScriptとの相互運用やブラウザとの連携が容易になるとしている。
Kotlin/Wasmを利用するには、build.gradle(.kts)ファイルで以下のように有効化する必要がある。またKotlin/Wasmで生成したバイナリを実行するには、Google Chrome、Firefox、Microsoft Edgeの設定を変更する必要もある。
plugins { kotlin("multiplatform") version "1.8.20-RC2" } kotlin { wasm { binaries.executable() browser { } } sourceSets { val commonMain by getting val commonTest by getting { dependencies { implementation(kotlin("test")) } } val wasmMain by getting val wasmTest by getting } }
Kotlin/Nativeコンパイラの一部サポートを終了
Kotlin/Nativeコンパイラで対象としていた以下のプラットフォームが非推奨となった。バージョン1.9.20で削除される予定だ。
- iosArm32
- watchosX86
- wasm32
- mingwX86
- linuxArm32Hfp
- linuxMips32
- linuxMipsel32
AutoCloseableインタフェースとBase64エンコーディングを標準ライブラリに追加
AutoCloseableインタフェースおよびBase64のエンコードとデコードが実験的機能として追加された。
Gradleのインクリメンタルコンパイルがデフォルトに
GradleのJVMバックエンドのみで利用可能だったインクリメンタルコンパイル(変更した部分のみを再度コンパイルする方式)がデフォルトで動作する。
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