「服が赤色か茶色かはっきりしない」「該当者が多過ぎ」でも大丈夫 あいまい条件で人物特定できる技術をNECが開発:1000人以上が行き交う場所でも2分で特定
NECは、カメラ映像の分析に向けた「あいまい検索技術」を開発した。性別や服、帽子、靴の色といった形状など、あいまいな外観属性情報を基に映像から特定の人物を検索できる。
NECは2023年5月19日、カメラ映像の分析に使える「あいまい検索技術」を開発したと発表した。人物の性別や服、帽子、靴の色といった形状など、あいまいな外観属性情報から特定の人物を検索でき、迷子捜索などな活用できる。NECが提供している「NEC 映像分析基盤」で2023年度中に実用化予定だ。
100以上の属性情報を「推定の確信度」とともに表示
特定人物の捜索には、カメラ映像から視覚的な特徴を分析する手法が有効だ。しかし、商業施設での迷子探しなどでは「服装の色の記憶があいまいで、対象の人物を抽出できない」「条件に当てはまる子どもが大勢いる」といった課題がある。顔認証技術を使用する方法もあるが、その場合はカメラの解像度がある程度高い必要があるし、プライバシーへの配慮も欠かせない。そのため、これまでは警備員などの人手による捜索が主な対処法となり、迷子の発見に数時間を要する場合があった。
あいまい検索技術では、カメラに写っている人物の視覚的な特徴から、性別、服、帽子、靴の色や形状、かばんなど持ち物の情報といった100以上の属性情報を「推定の確信度」とともに表示する。
特定人物の検索の際には、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定の両方のあいまいさを考慮した上で、総合的に合致するかどうかを判定して検索結果を出力する。そのため、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によってAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても候補から排除することなく対象人物を見つけられる。
顔の画像を使用しなくても外観属性の推定が可能なため、プライバシーに配慮して運用できる。NECが実施した実証によると、人の往来が激しい14区域を撮影し、1000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、同技術を用いて平均2分で対象人物を発見できたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Meta、画像や動画内のあらゆるオブジェクトを識別できるAIモデルを発表
Metaは画像や動画内のあらゆる物体を識別できる「Segment Anything Model」(SAM)とデータセットの「Segment Anything 1-Billion mask dataset(SA-1B)」を公開した。 - AIで生まれ変わった新Microsoft Edgeで何ができるのか
Microsoft Edgeで対話AI(人工知能)「新しいBing」と画像生成AI「DALL-E」がサポートされた。対話AIによって、簡単に調べごとの回答が得られるようになった。「新しいBing」では、回答に参照元のURLが提示されるため、これをクリックすることで、さらに詳しい情報を得ることもできる。ただし、使い方にはコツや注意すべき点もある。Microsoft EdgeがサポートしたAI機能の使い方と注意点をまとめてみた。 - 高校生に負けない! 社会人が学ぶべき、やさしいデータ分析
データ分析の初歩から応用まで少しずつステップアップしながら学んでいく連載のスタート。今回は、なぜデータ分析の重要性が高まっているか、ビジネスに生かすために何を学ぶべきかを概観した後、連載の全体像を紹介します。