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企業ネットワークの5大トレンドと対応の注意点Gartner Insights Pickup(309)

Gartnerは、2023年に世界の企業向けネットワーク接続サービス支出は2600億ドルを超えると予測している。本稿では、Gartnerが注目している企業ネットワークのトレンドのトップ5と、企業のソーシングチームへのアドバイスの概要を紹介する。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」や、アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」などから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 企業のネットワークサービス購買担当者10人のうち約7人が、2023年の予算は横ばいか、増えると見ていることが、2023年2月20日〜3月3日に実施した調査の速報値で明らかになった。

 Gartnerの予測では、2023年に世界の企業向けネットワーク接続サービス支出は2600億ドルを超える見通しだ。

 以下では、Gartnerが注目している企業ネットワークのトレンドのトップ5と、企業のソーシングチームへのアドバイスの概要を紹介する。

セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)

 セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)は、ネットワーク分野のさまざまなトレンドの中で、Gartnerの顧客からの問い合わせが最も多い部類に入る。多くのネットワークベンダーやセキュリティベンダーが、SASE機能を提供する戦略にシフトしており、SASEの考え方を企業に積極的に売り込んでいる。通信サービスプロバイダーも既にマネージドSASEサービスを立ち上げている。だが、Gartnerが行った機能分析の結果は、1社のベンダーが提供するほとんどの製品は未成熟であるか不完全であることを示している。

推奨事項:

 WANファイアウォールやVPN更新、ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)、クラウドアクセスセキュリティ、Webブラウジングセキュリティ、SD-WANなどの契約更新時にベンダーを集約し、複雑さとコストを低減する。

マルチクラウドネットワーキングソフトウェア(MCNS)

 マルチクラウドネットワーキングソフトウェア(MCNS)がトレンドになっている主な理由は、ハイパースケーラーの独自ネットワーキングフレームワークは、シングルクラウドのユースケースでは機能の深さが足りないことに企業が気づいたことにある。また、このフレームワークは、マルチクラウド環境に対応した管理の一貫性と機能の幅も不足しているからでもある。Gartnerの調査によると、パブリッククラウドを使用する企業の76%が、複数のパブリッククラウドを利用している。企業は、クラウド間のデータトラフィックルーティングの簡素化と管理の一貫性をますます必要としている。

推奨事項:

 MCNSに投資する場合、従量制の料金オプションを利用し長期契約を避けることで、柔軟性を確保する。

5GとFWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)

 Gartnerは、インダストリアルIoT(産業用のモノのインターネット:IIoT)の分野を注視している。この分野では、幅広いエッジアプリケーションが登場し続けている。Gartnerの多くの顧客から、「5G FWAをバックアップ接続や遠隔地でのプライマリー接続に利用できないか」という質問が寄せられる。だが、5Gは、カバーエリアが依然として小さいという問題があり、グローバルな運用ではあまり好まれない。また、5GのIIoTエンドポイントやOT(オペレーションテクノロジー)向け通信インタフェースの供給市場も、さらなる発展が必要だ。

推奨事項:

 概念実証(PoC)として、5G IoTとエッジネットワーキングアプリケーションのパイロットトライアルを進める。ただし、カバーエリアとサービスサポートが確認できるまで投資を見送る。

NetDevOps

 通常、NetDevOpsを導入している企業は、ネットワーク関連作業の半分以上を自動化している。これはほとんどの企業ネットワークチームとは全く対照的だ。これらのチームは通常、自動化しやすいシンプルなワークフローや作業を中心に、ネットワーク関連作業の10〜25%を自動化しているにすぎない。

推奨事項:

 既に実施済みの自動化を活用してワークフローをカスタマイズできるネットワーク自動化ツールに投資する。

NaaS(Network as a Service)

 このトレンドは、ディスラプション(創造的破壊)を引き起こしている。企業は、クラウドの「as-a-service」モデルを快適に利用してきた。そのため、オンプレミスのネットワークインフラにもこのモデルを適用しようとするのは自然なことだ。スイッチやルーター、SD-WANデバイス、ゲートウェイ、ファイアウォールから、クラウド接続のセルフサービス機能やオンデマンド提供までNaaSの導入が進んでいる。Gartnerはこのディスラプションを追跡している。このディスラプションが柔軟性を向上させ、OPEX(Operation Expense:運用コスト)型の価格モデルを提供すると考えている。

推奨事項:

 導入前の環境をスナップショットして、それを基に導入後のROI(投資対効果)の実現を主張する。

出典:IT Budget Survey Points to Increased Spending on Networking Services(Gartner Blog Network)

※「Gartner Blog Network」は、Gartnerのアナリストが自身のアイデアを試し、リサーチを前進させるための場として提供しています。Gartnerのアナリストが同サイトに投稿するコンテンツは、Gartnerの標準的な編集レビューを受けていません。ブログポストにおける全てのコメントや意見は投稿者自身のものであり、Gartnerおよびその経営陣の考え方を代弁するものではありません。

筆者 Andrew Johnson

Managing Vice President


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